夜空と陸とのすきま

SF好き SF小説1000本ノックを目指しています

銀河の果ての落とし穴/エトガル・ケレット

銀河の果ての落とし穴 作者:エトガル・ケレット 発売日: 2019/09/20 メディア: 単行本 タイトルと素敵な表紙の装画から勝手にSFだと思い込んで手に取りましたが全然違った。この不条理な世界をユーモアで笑う、イスラエルの文筆&映像作家のケレットの超短篇…

ベストSF2020/大森望 編

べストSF2020 (竹書房文庫) 発売日: 2020/07/30 メディア: 文庫 東京創元SF文庫から毎年出ていた「年刊日本SF傑作選」が大人の事情で終了したらしく、この度リニューアルして竹書房文庫にお引っ越し。創元版と同じく各短編のはじめに編者による作品解説と著…

イルミナエ・ファイル/エイミー・カウフマン&ジェイ・クリストフ

イルミナエ・ファイル 作者:エイミー・カウフマン,ジェイ・クリストフ 発売日: 2017/09/21 メディア: 単行本(ソフトカバー) ページ数600、お値段4730円!高いし分厚いでも読みたい、どこかの図書館にないのか〜と検索したら県立図書館にあったので、わざわ…

2010年代海外SF傑作選

2010年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF) 作者:ピーター トライアス,郝 景芳,アナリー ニューイッツ,ピーター ワッツ,サム・J ミラー,チャールズ ユウ,ケン リュウ,陳 楸帆,チャイナ ミエヴィル,カリン ティドベック,テッド チャン 発売日: 2020/12/17 メディ…

サハリン島/エドゥアルド・ヴェルキン

サハリン島 作者:エドゥアルド・ヴェルキン 発売日: 2020/12/22 メディア: 単行本 北朝鮮の核ミサイルで第三次世界大戦が勃発、先進国の中で唯一無事だった日本は大日本帝国となり再び鎖国する。舞台は日本の領土となり中韓からの難民が押し寄せるサハリン島…

2000年代海外SF傑作選

2000年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF) 作者:エレン クレイジャズ,ハンヌ ライアニエミ,ダリル グレゴリイ,劉 慈欣,コリイ ドクトロウ,チャールズ ストロス,N・K ジェミシン,グレッグ イーガン,アレステア レナルズ 発売日: 2020/11/19 メディア: 文庫 昨年…

わたしたちが光の速さで進めないなら/キム・チョヨプ

わたしたちが光の速さで進めないなら 作者:キム チョヨプ 発売日: 2020/12/03 メディア: Kindle版 韓国の若手作家が贈る、エモすぎるSF短編7編。 ガジェットや宇宙工学はがっちりSFしている舞台で、やさしさと切なさにつつまれた物語たち。どんなに先端科学…

内なる宇宙/ジェイムズ・P・ホーガン

内なる宇宙〈上〉 (創元SF文庫) 作者:ジェイムズ・P・ホーガン 発売日: 1997/08/29 メディア: 文庫 内なる宇宙〈下〉 (創元SF文庫) 作者:ジェイムズ・P. ホーガン 発売日: 1997/08/29 メディア: 文庫 新年明けましておめでとうございますってもう松の内明け…

黒魚都市/サム・J・ミラー

地球温暖化で海面上昇、長引く内戦で国家崩壊した近未来、北極圏の洋上都市クアナークが舞台。高度なAIに統治され、株主と不動産業の富裕層と押し寄せる難民との格差。混沌としたこのハイテク未来都市にシャチとホッキョクグマを率いたオルカマンサーがやっ…

巨人たちの星/ジェイムズ・P・ホーガン

前二作からのチャーリーの謎、月の謎、ガニメアン達の謎を解き明かしながら、ガニメアンと共闘してジェヴレン人との戦いを描くジャイアンツ・スター第3部。 スパイ、ミステリー要素、そしてスパコン同士のバトルあり、特殊部隊突入あり、まさかのタイムスリ…

ガニメデの優しい巨人/ジェイムズ・P・ホーガン

『星を継ぐもの』の続編、木星の衛星ガニメデのガニメアン達との心温まる交流を描き、人類誕生とガニメアンとの関わりも明らかにというお話。 ハント博士達は、20年間(地球時間で二千五百万年)の長旅をしてきたガニメアンを労り、ガニメデ基地に安息の場を提…

星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン

月面開発を進めていたら、約5万年以上前と推測される赤い宇宙服を着た死体が発見された…というところから始まる名作謎解きハードSF。今さらですが100刷おめでとうございます!私の積ん読本だったのは35版。 人類の英知、学者や科学者が総力をあげてこの死体…

落下世界/ウィル・マッキントッシュ

フォーラーが目覚めると記憶は全くなく、世界は虚空に浮かぶばらばらの小島に分裂。自分は何者なのか?この世界は何なのか?手がかりの地図を片手にパラシュートを使って、次の世界に飛び出すという物語。 食べ物を求めて荒廃した世界をサバイバルするフォー…

巨星/ピーター・ワッツ傑作選/ピーター・ワッツ

ハードSF作家ピーター・ワッツの傑作11編。軍用機AIの視点、物体Xの視点、様々なものから知性/意識を描く。 何かの短編集でピーター・ワッツ作品が入っていたかもしれないけれど、長編は未読なので私にとってほぼお初の作家さん。最初のと、後半の3部作はな…

TENET

ウクライナのオペラハウスでテロ事件が発生。館内に突入した特殊部隊の一人”名もなき男”はテロ組織に捕らえられてしまい、毒薬で自害を図る。しかし、毒薬は別の物にすり替えられていて、こん睡状態から目覚めた男は、ある人物からミッションを命じられる。…

うどん キツネつきの/高山羽根子

『首里の馬』芥川賞受賞おめでとうございます!ということで、買ってはいたものの積ん読になってた短編集『うどん キツネつきの』を読みました。表題作の「うどん〜」は『NOVA』にも載っていた気がする。 高山氏はネタを思いついたらメモに書いて、大きな紙…

極夜行/角幡唯介

数ヶ月も太陽が昇らない極夜、暗闇と極寒を犬一匹と旅した記録。 冒険作家さんの本は結構好きで読んでいる割に角幡さんはお初です。角幡さんの文章面白い!明け透けにここまで書いちゃうのかと驚く。GPSを持たないなどとかっこいいこと言っている割に、土壇…

地下世界をめぐる冒険 闇に隠された人類史/ウィル・ハント

旅先で鍾乳洞があれば最優先で見に行っちゃう、洞窟に心ときめく私。図書館でこのタイトルと表紙絵を見てジャケ借りしました。 地下に魅せられた作者が、何年もかけて世界中をまわり地下に潜った記録。ニューヨークの地下鉄、パリの地下納骨堂、アボリジニの…

トランピストはマスクをしない コロナとデモでカオスのアメリカ現地報告/町山智浩

町山さん週刊誌連載「言霊USA」の単行本最新作は、読んでいる最中にトランプ大統領のコロナ陽性ニュースが飛び込んできたりして、タイムリーなタイトルと「コロナに負けても負けは認めん!」の帯、いつかはかかるとは思っていたけどすごいタイミングですね。…

vN/マデリン・アシュビー

vN=フォン・ノイマン式自己複製ヒューマノイドのエイミー(5歳)は、幼稚園の卒園式で突如現れた「おばあちゃん」に襲撃される。とっさに母親を助けようと、祖母に噛みつき吸収したエイミーは大人の体になってしまった。美少女ヒューマノイドのさすらい物語…

夏への扉/ロバート・A・ハインライン

ロボット開発者ダニイが、婚約者と友人にだまされて仕事も財産も奪われ、30年間の冷凍睡眠に追い込まれる。窮地に立たされたダニイの大逆転劇というお話。 最後の大どんでん返し、夢も希望も持てる『夏への扉』というタイトル、猫のピートかわいい!で高校生…

流れよわが涙、と警官は言った/フィリップ・K・ディック

誰もが知るセレブ芸能人のジェイスン・タヴァナー。ある朝目覚めると誰も自分のことを覚えていなく、IDも消滅していた。”存在しない男”となったタヴァナーは警察に追われる身となるという話。 逃亡先で次々と助けてくれる女性達と呑気に話しまくるタヴァナー…

SF本棚

お題「我が家の本棚」 いったい蔵書のSF本がどれくらいあるのか。普段はダンボールやプラケースに仕舞い込んでいる本を、一度並べてみてみたい欲求にかられ、家族が全員外出して一人で留守番という珍しい日に決行してみました! まずは単行本&早川の青背SFと…

掃除婦のための手引き書/ルシア・ベルリン

第10回Twitter文学賞海外部門で1位獲得から気になっていたので手にとってみました、アメリカ人作家ルシア・ベルリンの短編集。表紙写真は著者近影(元夫さんが撮影)、どえらい美人さんです。小説の形はとっていてもほぼ自叙伝なので、場末のバーでタバコと…

犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア調花瓶の謎上・下/コニー・ウィリス

コニー・ウィリスのオックスフォード大学史学部タイムトラベルシリーズ第2弾。第1弾である『ドゥームズデイ・ブック』を読んだ後だと、ダンワージ教授や助手のフィンチ君、タイムトラベル=降下などお馴染みのキャラ達や用語が出てくるので理解しやすいで…

渚にて あの日からの<みちのく怪談>/黒木あるじ 他

10人の東北在住作家さんが綴る、あの日からの…東日本大震災の鎮魂怪談集。 実話あり、創作話ありですが、ディティールがやたらと細かくて、話がうますぎる!映画みたいと思うのは創作話で、実話は短くてしんみりとした印象でした。怪談って実際はさりげない…

ボートの三人男/ジェローム・K・ジェローム

楽しいSFを読もう!と思い立ち、コニー・ウィルスの『犬は勘定に入れません』を読み始める前に、神林ちゃん(『バーナード嬢曰く。』)が先に『ボートの三人男』を読むべきだと言ってたので、元ネタとなる19世紀イギリスの傑作ユーモア小説を。古本で買った中…

ウィトゲンシュタインの愛人/デイヴィッド・マークソン

終末世界で人類最後の生き残りとなった女性、ケイトの独白手記。終末SFかと思って読み始めたけれど、内なる宇宙への旅的なお話で実験小説だった。まずケイトとは何者か。息子がいたらしいが亡くなり、夫と別れ、母を看取り、他に生存者がいないか探すため車…

アジア新聞屋台村/高野秀行

高野さん、台湾人の美人社長に見込まれて多国籍新聞社の編集をすることになり、在日アジア人と文化祭前夜のようなにぎやかな日々を過ごす、自伝的青春なお話。 南伸坊氏の表紙絵がまたすばらしい。アジアの女性のたくましさと明るさが表情に出ていて、こりゃ…

復活の日/小松左京

「今、日本SFで一番売れている」と大森望氏が『世界SF作家会議』で言及していましたが、随分前に古本で買っていて積ん読棚にありました。もともと早川書房で出版され、映画化の時に角川書店から再版、今はハルキ文庫で出ています。『三体Ⅱ』の訳者あとがきで…