フォーラーが目覚めると記憶は全くなく、世界は虚空に浮かぶばらばらの小島に分裂。自分は何者なのか?この世界は何なのか?手がかりの地図を片手にパラシュートを使って、次の世界に飛び出すという物語。
食べ物を求めて荒廃した世界をサバイバルするフォーラーの物語と、世界大戦と殺人ウィルスが猛威をふるう科学者ピーターの世界が同時進行。どちらの世界も殺伐としていて辛い。やがて2つの世界は繋がるのですが、とにかく力業でひっぱっていってまとめたった!というエンターテイメントSFでした。
残り少ない食料や缶詰を奪い合い、こんな死に方はしたくないという殺人ばかりで、ちょっと前に読んだスティーブン・キングの『ザ・スタンド』みたいだなと思っていたら、下巻解説によると著者はキングの大ファンで強く影響を受けたらしい。おう当たった!ということでとてもキングっぽいSFです。
下巻の感想を書くとネタバレになっちゃうんだけど、登場人物の複製がわらわら出てきて、複製だけの世界とか統制にキャラの性格が出ていたりして、その辺が面白かったです。メインの登場人物が良心と悪を持っていて、かなり複雑な人物像を描ききっていました。「記憶喪失で○○を止める」という設定をメインに持ってきたところがすごい。