夜空と陸とのすきま

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黒魚都市/サム・J・ミラー

黒魚【クロウオ】都市 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

地球温暖化で海面上昇、長引く内戦で国家崩壊した近未来、北極圏の洋上都市クアナークが舞台。高度なAIに統治され、株主と不動産業の富裕層と押し寄せる難民との格差。混沌としたこのハイテク未来都市にシャチとホッキョクグマを率いたオルカマンサーがやってきたというお話。

不治の伝染病<ブレイクス>にかかった大富豪の孫フィル、政治家のもとで働くアンキット、ファイターのカエフ、そして街を憎むメッセンジャーのソク。四人の視点で交互に物語は進み、やがてオルカマンサーと結びつく。

前半は個々の人物が何をしているのかさっぱりわからないけど、200ページを越えたあたりから話がまとまりだし一気に終結へ。近未来都市と野性味あふれるオルカマンサーのぶつかりは面白かったです。行き詰まった監視・格差社会に風穴を開けるのは、いつだって野生児(未来少年コナン)だね!

ニューヨークを下敷きにしたSFとして読むと興味深い。

わたしたちは流浪の民だ。故郷は自分で作るところ。わたしたちがいっしょにいるところだ。それが放浪の民という生き方のいちばんの長所ー