夜空と陸とのすきま

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星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン

星を継ぐもの (創元SF文庫)

月面開発を進めていたら、約5万年以上前と推測される赤い宇宙服を着た死体が発見された…というところから始まる名作謎解きハードSF。今さらですが100刷おめでとうございます!私の積ん読本だったのは35版。

人類の英知、学者や科学者が総力をあげてこの死体の正体を探るため、仮説をたてて事実へと導くところをドキュメンタリー風に話が進む。はたして人類はどこからきたのかが『サピエンス全史』なら、SFだったら自由にこう考察するねという感じ。40年前の小説なので、今だとトンデモオカルトに分類されそうだけど、スケールが大きくてロマンがあるなぁという感想でした。

高度な文明を築くも滅んでいった生命体。チャーリーの残した手帳からルナリアンの文字を、食糧庫の魚からミネルヴァの星を探っていく過程がとても面白かった。

ナショナリズムが衰退し軍備放棄された地球の国々、各国の学者が協力していてみんなやさしい。続編タイトルも『ガニメデの優しい巨人』とやさしい。そんなところが心温まる。