夜空と陸とのすきま

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地下世界をめぐる冒険 闇に隠された人類史/ウィル・ハント

地下世界をめぐる冒険——闇に隠された人類史 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズIII-12)

旅先で鍾乳洞があれば最優先で見に行っちゃう、洞窟に心ときめく私。図書館でこのタイトルと表紙絵を見てジャケ借りしました。

地下に魅せられた作者が、何年もかけて世界中をまわり地下に潜った記録。ニューヨークの地下鉄、パリの地下納骨堂、アボリジニの聖地、カッパドキアの地下都市、マヤ人洞窟…。体験談だけかと思いきや、ちゃんと歴史的背景や精神、化学に哲学まで踏み込んだ濃厚な内容でした。

穴を掘ることに取り憑かれた人達の話、ニューヨーク地下鉄に描かれたアートから伝説のグラフィティ・ライターを探す話が好き。作者自身が洞窟内で一晩明かす体験談も良かった。臨死体験に似ているんだなぁ。

たいていの人は世界を二次元的に動いている。自分の下にあるものを何ひとつ知らない。地下に何があるかを見たら、都市がどのように機能しているかを理解できる。しかも、それ以上の恵みがある。自分が歴史にどんな位置を占めているかを知ることができ、自分が世界にどう適合しているかがわかるんだ。