ハードSF作家ピーター・ワッツの傑作11編。軍用機AIの視点、物体Xの視点、様々なものから知性/意識を描く。
何かの短編集でピーター・ワッツ作品が入っていたかもしれないけれど、長編は未読なので私にとってほぼお初の作家さん。最初のと、後半の3部作はなんとか理解が追いついて楽しめました。中盤のは…寝落ちしまくり…。それぞれの短編に編集からのあらすじと解説がついていたけど、これがなかったら半分も理解できなかったと思う。とにかく修飾語が多くて、すぐにあらすじを見失う。
■天使
戦争ドローンAIで天使と受胎告知がモチーフ。稚拙な私はすぐにエヴァを思い出し、脳内イメージが”破壊し尽くす使徒”になってしまいます。
■遊星からの物体Xの回想
かの有名なSF映画のオマージュ。ちゃんと理解しようと『遊星からの』DVDを借りたつもりが、元祖の『遊星よりの』をレンタルしてきちゃった。南極じゃなくてアラスカ、物体Xは植物型生物。次は『遊星からの』を借ります。
物体X側の視点に立つと、彼は迫害された宣教師のよう。この短編が一番面白かった。
■ホットショット、巨星、島
10億年に渡るワームホール構築船の宇宙の船旅の話3部作。編集で時系列に収録してくれたのでわかりやすい。時間が途方も無い長さなので、想像力が追いつかない。船のAIはチンプ(チンパンジー)と名付けられ蔑称されていて、人間以上の知性を持たせない理由などが面白かった。