夜空と陸とのすきま

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ここはすべての夜明けまえ/間宮改衣

二一二三年、九州の山奥の小さな家で一人暮らしをするわたし。これまでの人生を振りかえり、亡き父に勧められた家族史をつづる形で語られる、いびつな家族との関係と不老の体についての物語。

ひらがなの口頭文も近親相姦もどうしようもない事態も、とにかく全部ヒリヒリします。読んでいて心が痛い。でも女という性から解放され、家族と恋人からも解放されるラストは清々しい。ここまで自分を縛っていた全ての呪いと縁切りしないと、自由な自分を取り戻せないなんて、長い夜に絶望すら感じました。夜が明けて良かった。

国書刊行会から出ている、デイヴィッド・マークソンの『 ウィトゲンシュタインの愛人』に似ている。