夜空と陸とのすきま

SF好き SF小説1000本ノックを目指しています

アイの物語/山本弘

10代の頃は雑誌「ファンロード」での面白ネタ投稿を楽しみ、ゲーム創作集団グループSNEソード・ワールドライトノベルを読み漁り、SFの大海を泳ぐ道標としてSFガイド本でもお世話になり、SF小説でも楽しませてくれた、心はいつも15才♡山本弘氏の訃報を知って喪失感が半端ないです。68歳早すぎる。

『アイの物語』は、アンドロイドが少年に話を読み聞かせる設定で、著者の過去作短篇を繋げていく仕組み。アンドロイドやAIを扱った過去作はライトノベルなのかティーンズの話が多く、美少女の女子話し言葉やオタク描写がやや鼻に付くけれど、友愛と哲学があって重層。

後半書き下ろしの「詩音が来た日」が特に良かった。老人介護をするアンドロイド〈詩音〉の話。読み終えて、あらためて最初のページに記されている妻と娘に捧ぐ序文を読み泣けてくる。山本氏の妻は看護師だったと記憶してるので、きっと妻の仕事からこの話を紡いでいったのだろう。AIと共存することを選択するSF映画『ザ・クリエイター/創造者』をもし観ていたら、とても喜んでいただろうなと思う。