夜空と陸とのすきま

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レインボーズ・エンド/ヴァーナー・ヴィンジ

3月20日SF小説家・数学者のヴァーナー・ヴィンジが死去。サイバースペース・技術的特異点(シンギュラリティ)を世に広めた偉大なSF作家です。高評価されている蜘蛛型異星人の三部作も積読棚に待機していますが、ウェアラブル・コンピューティングを描いた2006年作の『レインボーズ・エンド』を読みました。

20年後の未来には普及しているかもね!というITネタを壮大に盛り込んだ本作。シンギュラリティとかAIなどが巷に出回っていなかった頃(2009年)の翻訳とはいえ、とにかくITカタカナ用語が多すぎてその都度ググって、かつ登場人物が多いのに人名も一貫性がないので、うぎゃー!と投げ出したくなるほど読みにくい。自分にとって赤尾秀子の翻訳は高確率で迷子になりやすい気がする。赤尾氏が訳したユーン・ハ・リーとアン・レッキーの叛逆航路シリーズは読むのに覚悟がいるなと震える。(積読棚にある…)

エピファニー]と[ビリーフ・サークル]の意味がさっぱりわからないまま最後まで読み進め、下巻の翻訳者以外の方の解説でようやく紹介してもらえたというのもなんだかなぁでした。[ボリウッド]はインド映画の制作地の解釈であっているのかしら。

自分の解釈があっているのか誤読なのかわからなかったので文句たらたらですが、本作はお互いにpingを打ち合うエージェント夫婦、認知症MAXだったのに医療の力で若返った爺と孫娘のSPY×FAMILYが大活躍します。そして本の自炊を食い止める図書館戦争が始まり、シンギュラリティに達したウサギは神になり?続編を書くつもりだったのか色々と未解決のままだけど、ハッピーエンドに近い爽やかな終わり方でした。