ヨーロッパの古典文学から吟遊詩人、神話に異常論文、ゲームに香川の女子高生百合とAI、なんと知識人で引き出しの多い作家さんなのでしょう。SFしている3作がエンタメ寄りで、それ以外は膨大な知識量を浴びせられて窒息しそうな(意識が飛んで、行読みが滑る滑る)短篇でしたが、面白かったです。
▪️開かれた世界から有限宇宙へ
ゲーム機でなくスマホのプラットフォームでゲーム世界に光と陰影のリアリティを求めたいが、メモリ消費を抑えるために光源である太陽と月を動かさない世界観を考える話。めちゃくちゃ面白かった。
▪️ガーンズバック変換
ガーンズバックとはフルメタル・パニックではなく、SF作家のHugo Gernsback氏から。発明品のテレビ眼鏡とアイソレーターを見るとイメージが湧きますでしょうか。
色々と物議を醸した「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」とアニメ『電脳コイル』の素敵な融合。
▪️色のない緑
言語学者ノーム・チョムスキーの有名な例文「色のない緑の考えが猛烈に眠る」は、文法は成立していても語義が成立しにくい文章。そこから発展するミステリーSF。