とある地域で何かが起こり、人外魔境となった「ゾーン」。作家と教授、そして案内人(ストーカー)の三人が、ゾーンにあるという「入ると願いがかなう部屋」を目指す。ゆきてかえりし物語。
タルコフスキーの映画は芸術的作品だが眠い!『ソラリス』も『ノスタルジア』も20代で観て爆睡したけれど、『ストーカー』は原作を先に読んでいたから、舞台設定が理解できていて、かぶりつきで3時間見れました。歳をとったから、ようやくタルコフスキーの良さがわかるのか。他の作品ももう一回見直そうかな。
脚本は原作者のストルガイツキイ兄弟ですが、タルコフスキーの自叙伝的なものをかなり入れてきている気がします。ゾーンに入るのが作家と教授だから、セリフも監督のことのように聞こえてしまう。宇宙からきた隕石落下でできたゾーンという設定以外は全くSFしてなかったけれど、水と火の表現の美しさ、シンメトリーを多用する構図、宗教的解釈、ゆきてかえりし物語の最後に優しく迎える妻。
ゾーンの探索中、ちょっと休憩しようと言ってなぜそんな狭いとこで寝るの?と思ったけど、あの水の中の医療用具〜キリスト像〜銃〜のシーンは意味深で美しかった。
タルコフスキーは自由な表現を求めてソ連から亡命し、フランスで客死。
ウクライナのゲーム会社は、『ストーカー』のゾーンをチェルノブイリの放射能汚染地帯に変えてPCゲーム『S.T.A.L.K.E.R.』を開発。
そして日本では、理解の及ばない異世界でのお宝探索をコンセプトにした『裏世界ピクニック』がラノベ、アニメ、漫画とマルチメディア展開。日本らしいといえばらしい。