夜空と陸とのすきま

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クローム襲撃/ウィリアム・ギブスン

ウィリアム・ギブスン短篇集で、キアヌ・リーブス北野武が共演した映画『JM』の原作「記憶屋ジョニイ」収録。ハッカーやマフィア、電脳空間に暗黒街でヤクザと粋なサイバーパンクを味わえる全10篇。ブルース・スターリングのSF界に啖呵切ってる序文も面白い。

 

■記憶屋ジョニイ

ジョニイと言えば、「ジョニイへの伝言」じゃなくて、UAの曲「悲しみジョニー」を思い出す世代です。それはともかく、映画『JM』はまだ未見。昨日レンタルで借りてきた!
機密情報を頭に記録して運ぶ不正取引人ジョニイが、ヤバいプログラムを記録し、”ヤクザ”に追われ、若き日のモリイに助けられる話。会話文が全く理解できなくても、しびれるカッコよさがあるのは、ゴダールの映画っぽいな。

 

■ニュー・ローズ・ホテル
他の企業に引きぬかれるよりは死んでもらったほうがましと命を狙われる企業専属の科学者の逃亡を助ける"逃がし屋"の主人公という、ぐっとくる設定でつかみはOK。棺桶と訳されるカプセルホテル「ニュー・ローズ・ホテル」など、日本が舞台。歌舞伎町&横浜ハードボイル。90年代に映画化していて、ヒロシが天野嘉孝!日本企業の役員が坂本龍一だったらしい。なにそれ見てみたい。

 

ドッグファイト
マイクル・スワンウィック&ウィリアム・ギブスン共作。アーケードゲームの覇者を目指すデュークと天才プログラマーの女の子ナンスの物語。恋バナになるかと思いきや後味の悪い結末。でも小悪魔的なナンスが可愛い、可愛い過ぎる。この本の収録作の中で一番読みやすくてキャラが立っている。デュークは超最低!なんだアイツ。

 

■クローム襲撃

ニューロマンサー」、「記憶屋ジョニイ」、「ニュー・ローズ・ホテル」も、そして「クローム襲撃」も同じ世界軸線で"スプロール・シリーズ"と呼ばれるもの。作家が生み出した創造の世界が、ここまで設定に凝っていて、ガジェットが揃うと無敵。ギブスンがSF界に与えた衝撃の強さを感じながら読みました。