夜空と陸とのすきま

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火星年代記[新版]/レイ・ブラッドベリ

華氏451度』に次いで知名度の高いブラッドベリの名作SF。かなーり長らく積んでましたッ!解説を読むと、映画でいうディレクターズカット版やファイナルカット版のように様々な変更点を得ての「新版」みたいでした。表紙絵がなかなかカッコ良い。

内容は舞台が火星になっているけど、アメリカ史の大反省会。全て破滅させてしまう人間の業の深さよ…といった感じ。

ショートショートの連作で、登場人物の描写から背景を伺い知るため、前半はぼんやりとしつつ、後半から面白さを感じるようになってきました。

「イラ」…これはブラッドベリの『十月のゲーム』と同じ展開!なにげにホラー。

「いなご」…イナゴといえば旧約聖書の第八の災いからきているのか。火星に移住してくる地球人をイナゴに例えちゃうのね。

「長の年月」…義家族を作っちゃうお父さんの話。とにかく切なかった。

「鞄店」…ユーモア万歳。

本作から影響を受けた作家は星新一だそうですが、手塚治虫火の鳥未来編もそうじゃないのかな。知らんけど。