夜空と陸とのすきま

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2010年代海外SF傑作選

 

 インターネットの進化に希望を描いた2000年代とは打って変わって、ICT社会による弊害や絶望感が出てくる2010年代SF。読み比べると面白いですね。テクノロジーが進化すると、使いこなす人類の方のアップデートも必要なのかな。

 

■火炎病/ピーター・トライアス

視界に青い炎が見える難病が発生。主人公はARを駆使して炎を再現し、医師や家族の理解を得ようとするお話。テクノロジーの正しい使い方、青い炎の正体など面白かった。

 

■乾坤と亜力/郝景芳

AIと幼い子どものほのぼのとしたやり取り。郝景芳はいいなぁ、触れ合いを大事にする物語が好き。今月は彼女の新刊が出てくれて嬉しい。

 

■ロボットとカラスがイースセントルイスを救った話/アナリー・ニューイッツ

野良ロボットとカラスのコンビが死にかけ病人を救う話。カラス言語を習得するロボットすごっ

 

■良い狩りを/ケン・リュウ

短編集『紙の動物園』収録作品なので再読。ほんと傑作!霊幻道士からのスチームパンク。アニメ映像化されているらしいので、これを観たいがためにNetflix入ろうかなと思っちゃう。

 

■果てしない別れ/陳楸帆

陳楸帆の単行本『荒潮』が面白かったので、期待しながら読みました。全身不随となった男が深海にいた知的生命体とリンクする話。そして彼女との深い絆も素敵だった。

 

■“ “/チャイナ・ミエヴィル

頭の中でずーっと「こびとずかん」のテーマソングが流れてました。〈不在〉生物を論じたレポート。

 

ジャガンナート世界の主/カリン・ディドベック

巨大なマザーの中で働くヒトの話。SFを読む醍醐味は、文章を自分の脳内でどこまでイメージできるか試すことだと思う。

 

■ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル/テッド・チャン

短編集『息吹』収録作品なので、こちらも再読。仮想空間でデジタル生物を育てる話。次々と変わってゆくプラットフォームがさもありなん。所詮は電子でプログラムなのに、最後の飛躍というか到達点が高い。ポケモンが人権を得るにはそこまでいくのかという。アナに一度も自分の想いを告白していないのに、デレクが選択した事はそれでいいのか、自己完結しすぎじゃないのかと悶々とする。