夜空と陸とのすきま

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うどん キツネつきの/高山羽根子

うどん キツネつきの (創元SF文庫)

首里の馬』芥川賞受賞おめでとうございます!ということで、買ってはいたものの積ん読になってた短編集『うどん キツネつきの』を読みました。表題作の「うどん〜」は『NOVA』にも載っていた気がする。

高山氏はネタを思いついたらメモに書いて、大きな紙にメモを貼っていって作品に仕上げていくとどこかのインタビューで答えていらして、小ネタにクスクスと笑えて、とても浮遊感があって、でも最後の方で思わぬ方向に飛んでいってしまう短編ばかりでした。読解出来なかったお話も何編かあり、いつか読み返してみたらその時その時で気が付くこともあるのかな。

この短編集の中では断然『シキ零レイ零 ミドリ荘』が好き。あの始まり方

「おっちゃん今までだまっとったけど実はな、ダイガクイン出て宇宙ヒコーシやってたんや。」

からの

「飛んだなあ」
キイ坊が溜息混じりに声をあげた。ミドリも頷き、
「あの、すかいらーくの看板と同じくらい上がってたよ」

までの2頁で笑いが止まらなくなり、ぐっと引き込まれました。ミドリ荘という古いアパートの住人達の話ですが、世界観が『じゃりン子チエ』みたいだった。