夜空と陸とのすきま

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復活の日/小松左京

復活の日 (角川文庫)

「今、日本SFで一番売れている」と大森望氏が『世界SF作家会議』で言及していましたが、随分前に古本で買っていて積ん読棚にありました。もともと早川書房で出版され、映画化の時に角川書店から再版、今はハルキ文庫で出ています。『三体Ⅱ』の訳者あとがきで「小松左京のエッセンスが入ってる」との指摘を読み、どれどれと手にとってみました。あーあそこね!という気付きが見つかると嬉しい。絶望的な展開になるんだけど、意外にも人類はしぶとい。

死亡率99%の猛毒な生物化学兵器が事故で広まり人類はほぼ死滅。南極大陸の調査基地にいる人々だけが生き残るが、さらに冷戦下に配備された核爆弾が地震により誤発進する可能性が!人類は2度も滅びるのかというお話。

タイトルが復活の日なので最後まで希望を持ちつつも、途中のパンデミック描写にかなり嫌気が。フィクションでも現実でも医療崩壊は辛い、辛いと分かってるなら読まなきゃいいのに、次こそは明るいSFを読もう(といいつつ図書館の新着図書棚で目が合ったので、今は『ウィトゲンシュタインの恋人』を読んでいる)。

60年代当時で疫病を科学的にめちゃくちゃ詳しく書かれていたことが想定外で驚きました。パンデミックが起こる可能性と表裏一体のまま、今までのほほんと暮らしてきたんだなぁ。新型コロナは感染力が強いけど、このSFに出てくるウィルスに比べると遥かに毒性は弱いのでなんとか封じ込めれますように。ニュージーランドみたいに封じ込めに成功している国もあるんだから、日本にも早く復活の日を願う。