夜空と陸とのすきま

SF好き SF小説1000本ノックを目指しています

読書【小説SF】

巨人たちの星/ジェイムズ・P・ホーガン

前二作からのチャーリーの謎、月の謎、ガニメアン達の謎を解き明かしながら、ガニメアンと共闘してジェヴレン人との戦いを描くジャイアンツ・スター第3部。 スパイ、ミステリー要素、そしてスパコン同士のバトルあり、特殊部隊突入あり、まさかのタイムスリ…

ガニメデの優しい巨人/ジェイムズ・P・ホーガン

『星を継ぐもの』の続編、木星の衛星ガニメデのガニメアン達との心温まる交流を描き、人類誕生とガニメアンとの関わりも明らかにというお話。 ハント博士達は、20年間(地球時間で二千五百万年)の長旅をしてきたガニメアンを労り、ガニメデ基地に安息の場を提…

星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン

月面開発を進めていたら、約5万年以上前と推測される赤い宇宙服を着た死体が発見された…というところから始まる名作謎解きハードSF。今さらですが100刷おめでとうございます!私の積ん読本だったのは35版。 人類の英知、学者や科学者が総力をあげてこの死体…

落下世界/ウィル・マッキントッシュ

フォーラーが目覚めると記憶は全くなく、世界は虚空に浮かぶばらばらの小島に分裂。自分は何者なのか?この世界は何なのか?手がかりの地図を片手にパラシュートを使って、次の世界に飛び出すという物語。 食べ物を求めて荒廃した世界をサバイバルするフォー…

巨星/ピーター・ワッツ傑作選/ピーター・ワッツ

ハードSF作家ピーター・ワッツの傑作11編。軍用機AIの視点、物体Xの視点、様々なものから知性/意識を描く。 何かの短編集でピーター・ワッツ作品が入っていたかもしれないけれど、長編は未読なので私にとってほぼお初の作家さん。最初のと、後半の3部作はな…

うどん キツネつきの/高山羽根子

『首里の馬』芥川賞受賞おめでとうございます!ということで、買ってはいたものの積ん読になってた短編集『うどん キツネつきの』を読みました。表題作の「うどん〜」は『NOVA』にも載っていた気がする。 高山氏はネタを思いついたらメモに書いて、大きな紙…

vN/マデリン・アシュビー

vN=フォン・ノイマン式自己複製ヒューマノイドのエイミー(5歳)は、幼稚園の卒園式で突如現れた「おばあちゃん」に襲撃される。とっさに母親を助けようと、祖母に噛みつき吸収したエイミーは大人の体になってしまった。美少女ヒューマノイドのさすらい物語…

夏への扉/ロバート・A・ハインライン

ロボット開発者ダニイが、婚約者と友人にだまされて仕事も財産も奪われ、30年間の冷凍睡眠に追い込まれる。窮地に立たされたダニイの大逆転劇というお話。 最後の大どんでん返し、夢も希望も持てる『夏への扉』というタイトル、猫のピートかわいい!で高校生…

流れよわが涙、と警官は言った/フィリップ・K・ディック

誰もが知るセレブ芸能人のジェイスン・タヴァナー。ある朝目覚めると誰も自分のことを覚えていなく、IDも消滅していた。”存在しない男”となったタヴァナーは警察に追われる身となるという話。 逃亡先で次々と助けてくれる女性達と呑気に話しまくるタヴァナー…

SF本棚

お題「我が家の本棚」 いったい蔵書のSF本がどれくらいあるのか。普段はダンボールやプラケースに仕舞い込んでいる本を、一度並べてみてみたい欲求にかられ、家族が全員外出して一人で留守番という珍しい日に決行してみました! まずは単行本&早川の青背SFと…

犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア調花瓶の謎上・下/コニー・ウィリス

コニー・ウィリスのオックスフォード大学史学部タイムトラベルシリーズ第2弾。第1弾である『ドゥームズデイ・ブック』を読んだ後だと、ダンワージ教授や助手のフィンチ君、タイムトラベル=降下などお馴染みのキャラ達や用語が出てくるので理解しやすいで…

復活の日/小松左京

「今、日本SFで一番売れている」と大森望氏が『世界SF作家会議』で言及していましたが、随分前に古本で買っていて積ん読棚にありました。もともと早川書房で出版され、映画化の時に角川書店から再版、今はハルキ文庫で出ています。『三体Ⅱ』の訳者あとがきで…

三体Ⅱ 黒暗森林(上・下)劉 慈欣

三体世界の侵略艦隊が太陽系に到達するまで四百年後、迎え撃つために宇宙軍を設立した国連機関。しかし三体より送り込まれた極微スパコン”智子”に宇宙から監視され、人類の叡智は進化できない。どうする人類。そこで終末決戦に向けて”面壁計画”が発動され、4…

マーダーボット・ダイアリー(上・下)

趣味は連続ドラマ鑑賞、特技はハッキング、そして極度の対人恐怖症な警備ユニット”弊機”の、宇宙さすらい物語。 これはホントに面白かった!凄腕のハッカーで、自分の統制モジュールをハッキングして自由になったものの、世間知らずなので何をしていいのかわ…

エンダーのゲーム(上・下)/オースン・スコット・カード

昆虫型異星人バガーの侵攻から地球を守るため、優秀な艦隊指揮官を育成すべく設立されたバトル・スクール。対バガー戦を模した訓練で頭角を表す天才少年エンダーは、地球の救世主になれるのか?リーダー育成SF。 最初はハリー・ポッターみたいな展開で、学校…

ザ・スタンド(上・下)/スティーヴン・キング

カリフォルニア州にある軍の細菌兵器研究所から実験中のウイルスが流出し、人々が感染して死滅していく上巻、生き延びた人々が集まり新しい社会を形成していく中、闇の男率いる集団との戦いを描く下巻。 ステイホーム中にハードカバー全2巻読み切ったぁぁ~…

スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選/山岸 真編

未知の生命体とのファーストコンタクトSF傑作選の次は、進化を遂げた人類のポストヒューマンSF傑作選にチャレンジ。AI・ナノマシン・クローン・仮想現実・バイオテクノロジーと次々と登場する科学技術に振り回される人類、あんまり幸せそうじゃないじゃんと…

誤解するカド ファーストコンタクトSF傑作選/野﨑まど・大森望編

ステイホームだったはずなのに、どかっと仕事が重なってありがたいやら、落ち着いて読書できなくて積ん読本の山を見てモヤモヤするやら。こんな時は長編に挑むのが辛いので、短編集に限ります。 『正解するカド』のアニメにあやかって、ファーストコンタクト…

SF飯 宇宙港デルタ3の食料事情/銅 大

コロナ禍で日常がまさかのハードSFなのに、知人からおすすめされたキングのパンデミックもの(超分厚い上下巻)に手を出し、上巻だけでヘロヘロに疲れ果てて休憩中。何も考えないでいいようなゆる〜いSFでも読んでみようと、流行りの異世界&飯物ブームにちゃっ…

シミュラクラ/フィリップ・K・ディック

ディック山登山が、この「シミュラクラ」で足止めに。登場人物が40人近くいて、同時進行のストーリーが7つほどのレイヤーにわかれていて、主人公が誰かも定かでない怪作。一度読み始めて挫折しましたが、お家待機のこの期間に再挑戦。 サンリオ文庫で出版以…

幼年期の終わり/アーサー・C・クラーク

Eテレの100分de名著、今月はアーサー・C・クラークスペシャルということで、積ん読になっていた『幼年期の終わり』を読む。SF小説の定番、誰もが知っている名著なのに今頃になってようやく。 『Childhood's End』、日本では早川、創元、光文社と3社からそれ…

スタートボタンを押してください/D・H・ウィルソン&J・J・アダムズ編

ゲームとSFは実は相性が良いのな、と気づかせてくれたゲームSF短編の傑作選。大好きな『紙の動物園』ケン・リュウと、『火星の人』アンディ・ウィアーの短編が入ってるとなれば買うしかないじゃない!新しいSF作家を知ることもできてお得。オンラインゲーム…

月は無慈悲な夜の女王/ロバート・A・ハインライン

2076年、圧政に苦しむ月世界植民地は地球政府に対し独立を宣言したというお話。 ハインラインが「書いたら左翼と呼ばれた」独立戦争モノ。初期の超マッチョな『宇宙の戦士(1959)』から中期作品に移ると、こんなに主張が真逆になるの?どーした?とびっくりす…

宇宙の戦士/ロバート・A・ハインライン

新訳版が絶賛発売中ですが、矢野徹氏の旧訳を読みました。古本屋で購入した文庫はカバーに「スターシップトゥルーパーズ」映画化原作とでっかく書かれていて、バーホーベン監督のヤバイ映画が作られた時に重版したやつらしい。あの映画はバグ(虫)と戦ってい…

荒潮/陳楸帆

ゴミの島のリサイクル利権をめぐって、海外の組織と地元御三家の争いからのアジアン・サイバーパンクなお話。 電子ゴミから資源を探す最下層民”ゴミ人”の少女、米米(ミーミー)を軸に、リサイクルゴミの闇や格差社会の貧困層と富裕層との対立、義手やらチッ…

パラークシの記憶/マイクル・コーニイ

前作『ハローサマー、グッドバイ』を読み終えてすぐにネット中古本をポチって買ったら、届いた文庫がタバコ臭い…本を開く度にむぅん〜と臭う。前の持ち主さんは大分ヘビースモーカーですね…。ネット購入失敗したわぁ。 同じ惑星でも前作の登場人物が伝説にな…

なめらかな世界と、その敵/伴名 練

Twitterで話題になっていて、売れているからなのか市内の本屋には在庫がなく、遠出したときに寄ったアニメイトで「『かぐや様は告らせたい』の赤坂アカが装画です!」とポップ付きで山積みされてました。赤坂アカ氏の名前を覚えた(いまさら)。目力の強い装…

分解された男/アルフレッド・ベスター

24世紀、王国物産の社長ベン・ライクの犯した殺人事件をエスパー刑事が追うサイキックミステリーSF。 2017年にハヤカワ文庫から出た新訳版『破壊された男』(伊藤典夫訳)の方が読みやすいのは確実。今回読んだ古い方になる創元SF文庫版(沼沢洽治訳、って全…

愛はさだめ、さだめは死/ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

読んでは挫折しを繰り返し、ようやく読み終えました。ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの12篇の短編集。 SF界では長らく謎の多い人物だったティプトリー、実は女性で名前はアリス。アフリカの大地で育ちCIAに所属してペンタゴンで働き、匿名で謎の男性SF…

ハローサマー、グッドバイ/マイクル・コーニイ

地球ではないどこかの惑星、夏休みを港町の別荘で過ごしにきた政府高官の息子ドローヴは、宿屋の娘ブラウンアイズと再会を果たす。身分違いの恋とひと夏のジョブナイル。 さわやかな表紙絵と思春期の少年少女達の海の冒険、初恋の行方などなど恋愛小説部分を…