夜空と陸とのすきま

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なめらかな世界と、その敵/伴名 練

なめらかな世界と、その敵

Twitterで話題になっていて、売れているからなのか市内の本屋には在庫がなく、遠出したときに寄ったアニメイトで「『かぐや様は告らせたい』の赤坂アカが装画です!」とポップ付きで山積みされてました。赤坂アカ氏の名前を覚えた(いまさら)。目力の強い装画です。

著者初の6篇からなる短編集。どの作品も説明なしで物語が始まるので、異世界設定を理解するまで時間がかかり、暗闇の中を手探りで進んで行くように読んでいって後半ようやく面白くなりました。10代の少年少女が主役っていうのが多い。海外SFは主役がオッサンばかりなので、久しぶりに今時の日本SFを読むとフレッシュに感じます。印象深かったのは下記の2作品。

 

『なめらかな世界と、その敵』
表題作は並行世界を切り替えていくのが当たり前の世界にいる女子高生のお話。SFって本当に設定が自由で、どんな世界でも創作できて素晴らしい。

 

『ひかりより速く、ゆるやかに』
災害というのか、修学旅行帰りの生徒を乗せた新幹線がとつぜん超低速化現象に襲われて、旅行に参加しなかったがゆえに被害を免れた2人が、原因解明に奮闘するお話。
SF設定が奇抜だと説明に追われて、登場人物の描写が適当なものもあったりするけれど、これは主人公達の内面をよく描けていたと思います。金髪のヤンキー女子いいね。
たしかに「のぞみ」は「ひかり」より速い、昔間違えて乗車して往生した(そういう話ではない)。