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楽園追放 rewired サイバーパンクSF傑作選/虚淵玄(ニトロプラス)+大森望編

楽園追放 rewired  サイバーパンクSF傑作選 (ハヤカワ文庫JA)

「一概にSFっていっても、ハードSFとかスペース・オペラセンス・オブ・ワンダーって色々あるけど、どのジャンルが好きなの?」と某古本屋の店主から聞かれまして、「どれも好きです、どれもいけます!」と即答し、「えーサイバーパンクも?」「大丈夫っす、仕事がパソコン関係なんで」という会話をしたことが最近ありました。サイバーパンクって難しいというイメージがあるのかな。体にケーブルを繋げて「ネットの海は広大だわ」って呟くのがサイバーパンクだという認識ですが、間違ってないよね?

というわけでサイバーパンクものをガツガツと読みたくなって。

劇場アニメ「楽園追放-Expelled from Paradaise-」の原点を探るというコンセプトのもと、サイバーパンク30年の歴史を振り返るアンソロジーサイバーパンクの火付けW・ギブスンとB・スターリングから、若手の日本SF作家の最先端作品まで8篇を収録。「楽園追放」見てなくてもノープロブレムでした。

元祖のW・ギブスン『クローム襲撃』とB・スターリング『間謀』
初期のサイバーパンクは主人公の凄腕ぶりが気持ちいい。お二人の小説は本棚に積読状態で、このアンソロジーが先になってしまったけど、今後の楽しみが増えた。

神林長平『TR4989DA』と大原まり子『女性型精神構造保持者』
大原まり子!懐かしい~中学生の頃によく読みました。表紙裏の著者近影が美人でドキドキした思い出が。自意識の高いコンピュータのお話は楽しい。

 ウォルター・ジョン・ウィリアムズ『パンツァーボーイ』、チャールズ・ストロス『ロブスター』だんだんコンピュータ用語が多用されてくる。疾走感があってよき。

吉上 亮『パンツァークラウン ライヴズ』、藤井太洋『常夏の夜』
都市のコンピュータから行動を管理されるとか量子コンピュータとか、ネットの海がさらに拡張。量子の世界はこういう感じになっていくのかとワクワクします。

全作を読み終えて、サイバーパンクとは「造語にカタカナのルビをめちゃふるやつ」っていう認識が加わる。