夜空と陸とのすきま

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翡翠城市/フォンダー・リー

翡翠城市(ひすいじょうし) (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5045)

天然の翡翠が採れるアジアの小島、ケコン島。その島の民族は翡翠から怪力、敏捷、医療、感知など、人知を超えた能力を引き出すことができる。翡翠の力を操れる”グリーンボーン”達を率いる〈無峰会〉は、宿敵〈山岳会〉との縄張り争いが絶えず…というSFアジアン・ノワールなお話。

SF的な設定は翡翠の力というところで、組織抗争劇メインのほぼゴッドファーザー。作者(女性)は中国系カナダ人で、父が大ファンだった香港ヤクザ・カンフー映画を観て育ち、空手とカンフーの黒帯所持者。まさに映画秘宝が特集号を出しそうな世界観で、翡翠バトルはもろにドラゴンボール的バトル。

キャラクターが立っていて、特に主役のコール家3兄妹がかっこいい。アクションもロマンスもてんこ盛りで、血しぶき描写にぐふっときて、休み休み読み上げました。

「何かを得れば何かを失う」という鉄則が守れていて、全然チートじゃないのがいい。半ボケ老人の先代をたてているたがため、組織の中心になれず改革できずにいると、敵対する組織からボッコボコにやられ、そこからギリギリで反撃する後半。そしてオチが落ちない、まだ翻訳されていない続編があるようですね、これは楽しみ〜。

ところどころで出てくる「ぴしゃりと言った」という描写。ぴしゃり!ビシッ!!という擬音語が見えるようでした。