夜空と陸とのすきま

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シミュラクラ/フィリップ・K・ディック

シミュラクラ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

ディック山登山が、この「シミュラクラ」で足止めに。登場人物が40人近くいて、同時進行のストーリーが7つほどのレイヤーにわかれていて、主人公が誰かも定かでない怪作。一度読み始めて挫折しましたが、お家待機のこの期間に再挑戦。

サンリオ文庫で出版以降、幻の絶版が映画『ブレードランナー2049』公開にともない早川文庫で新訳に。

簡単にあらすじを書くことも難しいな。舞台が近未来でヨーロッパ・アメリカ連合と共産主義体制の二極化されていて、火星にも移住が始まっている世界。大統領が実は模造人間(シミュラクラ)で、絶大な権力を持っているのがファーストレディーで、大統領を影で操ってて、さらにタイムマシンを使って旧ナチスゲーリング元師を呼び寄せてというのが本筋になり、その周りを6つのプロットが絡み合うお話。とにかく人多すぎで混乱しますが、相関図を書いていけばなんとかわかる…のか?

火星に移住して農業をという話で、ありきたりなSFなら相棒みたいなAIロボットを連れていくのに、パパ・ママ・息子のお隣さん一家丸ごとの模造人間を作って一緒に持っていくという世界観が面白かったです。お隣さんがいれば砂漠の火星でもさみしくない!

まあ小ネタがいちいち面白いけど、全体像がぼやけてしまうのが残念。