夜空と陸とのすきま

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ザ・スタンド(上・下)/スティーヴン・キング

ザ・スタンド(上)ザ・スタンド(下)

カリフォルニア州にある軍の細菌兵器研究所から実験中のウイルスが流出し、人々が感染して死滅していく上巻、生き延びた人々が集まり新しい社会を形成していく中、闇の男率いる集団との戦いを描く下巻。

ステイホーム中にハードカバー全2巻読み切ったぁぁ~!パンデミックといえばこれを読めと、大学でお世話になった先輩に勧められて、読み始めてみたもののキャラ多過ぎの人死に過ぎ。特に上巻は医療崩壊の起こるニューヨークのところが現実とリンクしまくって辛かったです。まるでキングの世界だと騒がれて、本人がごめんなさいしてましたね。 

theriver.jp

善側も悪側もキャラが魅力的で、相関図と時系列をノートに書き込みながら読み進めていきました。でもいくらキャラ多過ぎで作者の手に負えなくなったからって、○○○しちゃうのはどうなんだ。いやーこんな死に方したくないわぁというものばかり(伏字になってない)。キング自身はもの凄い怖がりで、絶対にこうなりたくないという恐怖の妄想を書いているそうですが。

登場人物の中では、聴覚障害者の青年ニック・アンドロスと発達障害を患うトム・カレンが好きでした。トールキンの「指輪物語」が下地にあることに気がついて胸熱。

群衆を善と悪と分けるのは抵抗を感じつつ、悪の側、恐怖政治を執行する集団との壮絶な戦いを生き延びた後に、大自然との戦いとなる雪山越えがあるところが容赦ない。でも厳しい自然に対しては時間をかけて乗り越えてゆくことができる。そんなラストの雪山越えは気持ちがクールダウンできて希望が持てて良かったです。

どこをおのれの拠って立つところ(ザ・スタンド)とするか、そんなことは一度だって重要だったためしなどない。重要なのはただ、このおれがそこにいるということ……そしていまなお自分の脚で立っているということ、それだけだ。