夜空と陸とのすきま

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三体Ⅱ 黒暗森林(上・下)劉 慈欣

三体Ⅱ 黒暗森林(上)三体Ⅱ 黒暗森林(下)

三体世界の侵略艦隊が太陽系に到達するまで四百年後、迎え撃つために宇宙軍を設立した国連機関。しかし三体より送り込まれた極微スパコン”智子”に宇宙から監視され、人類の叡智は進化できない。どうする人類。そこで終末決戦に向けて”面壁計画”が発動され、4人の面壁者の頭脳に命運が託されるという三体続編。

上下巻で4千円近くの単行本ですが、いきつけの本屋さんのポイントカードのポイントで購入できました。どんだけ貯まっていたんだか。

三体Ⅱ面白いですね!もう面白かった前作よりさらに面白いとしか書けない。詳しく書くとネタバレになるので苦しい。大風呂敷も広げて広げて、ダイナミックな世界観がたまらないです。

しかし前作もそうだったけど、三体は戦慄する。今回は一般人には軽いインフルエンザなのに狙った人だけを殺しにかかる遺伝子改造ウイルスとか、経済危機の”大峡谷”が現実のコロナ禍と重なって怖かったけど、一番は宇宙戦艦のアレですよ、三体文明に震えあがりました。

どうして地球外文明は見つからないのかという”フェルミパラドックス”を、こういう解釈でくるのか。そして恐怖政治だった文化革命を経験したからこそ描けるシビアな解釈。黒暗森林、決して見つかってはいけない怖さ、中国怖い、今でも怖い。

蟻で始まり蟻で終わる三体Ⅱ。本当に最高の読書体験でしたが、今回の主人公羅輯くんの理想の女性像だけはいただけなかった。そんな都合のいいヒトいるか、いるんかいっ!という乾いた笑いしかない。