夜空と陸とのすきま

SF好き SF小説1000本ノックを目指しています

ベストSF2021/大森望編

2023年になるのに2021年のベスト版を読む。竹書房にお引越しした大森望編の年間SFベスト2冊目。わりとあっという間に本屋の棚から消えるので、買いそびれないようにしないと。どれも逸作で楽しめました。

 

■「この小説の誕生」円城塔

Google翻訳で翻訳を繰り返すと、だんだん別のものになっていくお話。翻訳のスキマから生まれるもの…面白いアイデア

多分、今の僕らにはこの程度の短い文章からはじめてらたどたどしく関係を進めていく必要があるんだろう。賢しらげに長文を振りかざしあい、ぼんやりとわかるようなわからないような言葉を投げあうよりも、


■「クランツマンの秘仏柴田勝家

論文形式のSF。柴田さんの仏教SF好きです!なんとなく京極夏彦っぽい。鉄鼠×魍魎の匣


■「人間たちの話」柞刈湯葉

偉大な発見をした科学者と甥っ子の家族の物語。壮大な宇宙スケールの話と、家族愛をしっかり描いていて、とてもいい読後感でした。

 

■「本の背骨が最後に残る」斜線堂有紀

華氏451度』で書物を丸暗記するブックピープルが出てきますが、あの設定の発展版。どちらの人間の暗記が正しいのか版重ね対決をして負けたら焚書(焼け死ぬ)。本人間残酷物語。

 
■「どんでんを返却する」三方行成

どんでんが何なのか謎だけど、借りたものを期限までなんとか返却する話。テンポが良いのでコミカライズして欲しい。すみません、ポストに返却します!なんだお前は!運命さ!で吹き出しました。笑いすぎてお腹痛い。

 

■「全てのアイドルが老いない世界」伴名練

電子書籍版の表紙絵が素晴らしいと著者がいうのでググりました。世界観が見事に一枚のイラストに現れていて素晴らしかった。アイカツ!が好きな人におすすめ。


■「あれは真珠というものかしら」勝山海百合

9ページの短編で、なんと豊かな奥深い物語を作れるのか。勝山さんは天才か!九年母がチンパンジーで、碩堰がトド?だとしたら修理亮はおさるのジョージか、ミッキーマウスかとか考えてしまいました。普通に人間ですよね。同級会できるといいね。

長編『厨師、怪しい鍋と旅をする』も、本当に面白いのでおすすめです!

 

■「それでもわたしは永遠に働きたい」麦原遼

脳活動を提供する朗動とか、SF作家はすごいことを考えるよね。


■「いつかたったひとつの最高のかばんで」藤野可織

不思議な物語です。確かに自分にしっくりくる鞄に出会うのは至難の業。ないなら作るわいと、ミシンで手作りしましたよ。