夜空と陸とのすきま

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三体Ⅲ 死神永生 上・下/劉慈欣

待ち遠しかった三体完結編。毎日読み終えた感想がTwitterで続々とあがり、みんな待ってくれと焦りながら読みました。

三体Ⅱで物語の軸だった「面壁計画」の裏で、極秘に進む「階梯計画」。それは三体艦隊にスパイを送り込む計画。スパイとして推薦されたのは余命幾ばくもない雲天明(ユン・ティエンミン)。彼はこの計画の中心となったエンジニアの程心(チェン・シン)を密かに想いながら宇宙に飛び立つという始まり。

三体・三体Ⅱの強い主人公達から一転、慈愛に満ちたやさしい女性主人公の程心と、雲天明の関係がまんまセカイ系で、『秒速5センチメートル』みたいだと訳者あとがきにも書かれていましたが、それより白髪の老人となり、悟りの極地にいる羅輯(ルオ・ジー)と程心の方が、『STAR WARS』のルーク・スカイウォーカーとレイの師弟関係みたいで萌えました。智子もね、和服で茶道からくノ一まで最強で最高だ。

下巻はもうどんどん宇宙の話が広がっていて、途中途中で本から目を離し、ぼーっと鳥の声を聞いたり、外に出て夜空を眺めたりして休みながらなんとか読み終えました。これを一気に読めた人すごいな。これがたった一人の想像力から生み出されたのもすごい。

翻訳者の大森望さんが言っていたけど、劉さんがすごすぎて、今後も中国SFブームで盛り上がっていきたいけれど、他に劉さんレベルがいないからバランスが保てないとか。確かに。なんか旧約聖書や仏教の教典みたいな、壮大すぎる宇宙の話だったんだけど、とってもエンターテイメントで面白すぎました。人工冬眠を繰り返し、世紀をまたいで旅した程心、お疲れ様。死神永生(死だけが永遠)、宇宙ですら永遠でないと。

 

 

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