夜空と陸とのすきま

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宇宙戦争/H・G・ウェルズ

前々世紀末に書かれたH・G・ウェルズの科学伝奇小説。突如宇宙からやってきた火星人が三本足機械兵器(トライポッド)を操り、イギリスを火の海にする話。

2005年にスピルバーグ監督がトム・クルーズを主演に実写映画を制作したが、原作を読むと大体のプロットは同じだったことに驚く。廃屋で火星人から執拗なくらいに襲われるホラー展開も、あっさりといなくなるオチも同じ。原作に忠実すぎて今のハリウッド映画の主流と噛み合わない。(でもあの映画はわりと好き)

火星人の描写がもう元祖タコ星人で、やっぱり古典SFって読んでおくべきだなとしみじみ思いました。捕獲してちゅーちゅーと血を吸うのね。

通信技術がほぼなく、遅くれた新聞だけが頼りの情報が不確かな世界で、高速で移動していく火星人から逃れるサバイバルがメイン。火星人より信仰心を無くして暴走する牧師の方が怖かった。「モロー博士の島」ともども、既存宗教に喧嘩を売っているところがある。