夜空と陸とのすきま

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火星縦断/ジェフリー・A・ランディス

2028年、第三次有人探査隊は火星に降り立ったが、着陸早々に帰還船で事故が発生。探査どころではなくなりプロジェクトは即中止された。はたして彼らは地球へ帰還するために火星を縦断し、新たな帰還船にたどり着くことはできるのか?という火星サバイバルSF。

著者はNASA所属の科学者で、火星探査プロジェクトに関わっていたらしく、火星の描写がとにかく細かい。天気や地層の説明がリアルだし、火星特有の機器の故障やトラブルネタもさもありなん。さらに火星航空機まで登場して、翼が大きく軽量で…との紹介に気になってググッてみると本当にあるんですね、火星航空機。翼に太陽光パネルが設置されていてすごい。

生きるか死ぬかの極限に追い込まれた隊員達の人間ドラマが、過去エピソードと火星サバイバルを交互に挟み、短い章立てでテンポよく構成されて、分厚い本だけどすらすら読めました。みんな色んな秘密を持って生きてきたのね。

ヒューストンと地球側の反応が、あまりにも冷たすぎて、そのあたりは同じ火星サバイバルもののアンディ・ウィアー『火星の人』とは真逆でした。