夜空と陸とのすきま

SF好き SF小説1000本ノックを目指しています

シナモンとガンパウダー/イーライ・ブラウン

海賊冒険×お料理小説。時は19世紀イギリス。海賊船に拉致された貴族お抱えの料理人ウェッジウッド。調理設備最悪、乏しい食材で週に一度、女船長マボットのためだけに極上の料理を作れ、さもないと殺すと脅される。経験とひらめきを駆使してシェフの腕を振るうが、敵船との攻防も待ち構えていて…というお話。

ウェッジウッドの日記調で物語は進む。彼は何度も脱走を試み、見つかるたびにフルボッコにされつつも料理はプライドをかけて完璧に仕上げる。長い船旅で海賊たちと交流を深めていき、気が付けば敵船を攻撃した後に食材や調理器具を奪いに乗り込んでいったりしちゃうところとか最高でした。敬虔なるクリスチャンなのに、なんだかんだで七つの大罪を犯してしまっているし。ウェッジウッドが海賊たちからワルを教わり感化されていく過程が面白かった。

そして女船長マボット。なかなか壮絶な人生を歩み奥深い人格として描かれていて、率直に言うとカッコいい!博愛・友愛・慈愛を持つ女神であり残虐な悪魔。そして個性豊かな海賊たちもキャラ立っていてよき。最後の死闘は読みごたえがありました。

ウェッジウッドとマボットが二人で料理を食べるところはエロい。料理は愛だな、愛。