夜空と陸とのすきま

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火星人ゴーホーム/フレドリック・ブラウン

突如地球に現れた10億人の火星人たち。小さな緑色をしたゴブリンみたいな火星人の体に触れることができないので、あらゆる武器・化学兵器が効かず、透視能力を使ってすべてをネタばらしする意地の悪さから軍隊崩壊、経済崩壊、メディア崩壊に夫婦仲まで崩壊する人類のドタバタ喜劇SF。

性悪コメディアン火星人という設定が逸品。とにかくウザい。めちゃくちゃウザい。こんなのが日常生活に入ってきたら誰でも気が狂うので、精神科とカウンセリングが大繁盛したりする。攻撃を受けるわけでもなくあっけなく崩壊していく世界も逆に痛快。

1964年、人里離れた丸木小屋の別荘(友人所有)に滞在していたスランプ気味のSF作家ルークが、突如火星人の訪問を受けるところから物語はスタート。

後半は、「この宇宙は俺の妄想なのでは?」という哲学の唯我論にもっていちゃうところもすさまじい。カルトB級映画っぽい実写映画化されているんですね。