夜空と陸とのすきま

ゆるいSF脳。SF小説1000本ノックを目指しています

トム・ハザードの止まらない時間/マット・ヘイグ

トム・ハザードの止まらない時間 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

歳を取るのが非常に遅い「遅老症(アナジュリア)」の男性、トム・ハザードの437歳人生回顧。16世紀末に生まれ、魔女狩りシェイクスピアとの出会い、ペスト流行、太平洋航海、戦争と様々な時代を生きつつ、生き別れの娘マリオンを探す、愛と孤独の物語。

刊行前にベネディクト・カンバーバッチ主演で映画化が決まったそうなので(青田買いかよ)、読みながら脳内でカンバーバッチが優雅にリュートやピアノを弾くのですよ、ええな〜映画制作がポシャらないことを祈ります。

過去と現代をいったり来たりの構成なので、時間枠が立体的になって面白かったけど、途中の中だるみが少々あり。映画はテンポ良く進むといいですね。

この本の前に、30代後半で壮絶な死を迎えた開発者の話『あなたのための物語』を読んでいて、今度は不老不死の話。ギャップが…。「不死は醜い」というサマンサの言葉が頭に残ったまま読み始めました。

歳を取らないということは、無限に本が読めていいじゃんと羨ましかったりしましたが、この物語のトムは400年分の記憶と後悔でストレスが溜まり、ひどい頭痛に悩まされる。「止まらない時間」は辛いだけ。過去に溺れ、未来に脅えるのをやめたときに、はじめて時間は止まり、時間から解放され自由になれる。