夜空と陸とのすきま

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ロッパの悲食記/古川緑波

長く長く積読棚にあった、昭和の喜劇役者・古川ロッパの食エッセイ。確かエッセイストの中野 翠が推していたから買ったような気がする。長新太の表紙絵がたまらん。

昭和19年の食日記がメインで、あとは戦後の豊かになってきた頃の食エッセイ。「悲食記」の昭和19年といえば、本土空襲も激しくなり一番モノがなかった時代によくまあこんなに大食漢でと呆れかえります。映画撮影のロケや地方巡業で東京を離れていて、東京にいる家族は草を食べているのだろう、すまんすまん、と言いつつ田舎でご飯を盛り盛り食べる。

表立っては閉店していても裏口から入って闇で入手した素材の肉料理を食べる。なんだかコロナ禍でも裏口からってあったよ。

プロパガンダ映画に出まくっているので、将校から持て囃されてウィスキーやらご馳走をいただく。微兵された兵は六割以上が餓死したのに…。あの頃でも高級食材は、あるところにはあったのか。

とまあ、餓鬼地獄に陥ったような食べっぷりと、執拗に詳細を書き込む食日記にお腹いっぱいになりました。