夜空と陸とのすきま

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火星無期懲役/S・J・モーデン

火星無期懲役 (ハヤカワ文庫SF)

火星無期懲役 (ハヤカワ文庫SF)

 

終身刑で服役中の主人公に与えられた選択肢は、このまま堀の中で一生を過ごすか火星基地建設に参加するか。火星に送られた7人の囚人達は、赤い砂漠にモジュールを組み立てていくが、ひとりまたひとりと謎の死をとげていくという火星サバイバルSF。

アンディ・ウィアーのヒット作『火星の人』(映画『オデッセイ』)みたいな作品書いてよと出版社にオファーされたそうで、裏表紙にあるあらすじを読むと面白そう!と期待しましたが、うーん。最初の殺人で犯人が読めちゃうし、登場人物達に思い入れがないし(しいていえばゼウス?)ミステリー要素は微妙でした。

主人公フランクは逆境に耐えて、アンガーコントロールがうまいなぁと思っていたけど、最後はかなり暴力的になって真逆になったのもちぐはぐ感がありました。

実際には火星に初期モジュールを建設するのはロボットがメインなんでしょうね。途中P211で人間のクルーとロボットの機能比較が載っていましたが、これを読んだら人間とロボット半々が一番ベストなんじゃ…と思ってしまう。『火星の人』は、一人の命を救うため全人類が応援、協力するところが感動的だったのに、『火星無期懲役』は囚人の命を使い捨てというのが、悪しき歴史の奴隷制度みたいで不快感がでちゃうのかな。