娘を駅まで迎えに行ったら電車が遅延していて、そんな日に限ってバッグに本が入ってなくて、駅前のTSUTAYAに駆け込んだら、海外文学の棚は寂しいし、けどハヤカワ文庫JAならあるじゃない!とこの本をジャケ買いしました。
民俗学+SFの融合、海外文学のような実写のような硬派な描写、だけどユニークで、こんなSFの書き手が日本にもいたんだと驚きました。他の作品も読みたい。
日本SF作家クラブ会長の池澤春菜さんによる解説も最高に面白い。なんて素敵な先輩!
山間部の少数民族が生まれてすぐにヘッドセットをつけさせられて、仮想のVR空間で人生を過ごす話。人が認識する世界の心許なさよ。狐に化かされたようなあやふやなオチがいい。
■鏡石異譚
岩手国際リニアコライダー(ILC)!猊鼻渓!とわりかし近場が舞台なので嬉しかった。ホントにILC計画が進むといいな。民俗学と量子論と少女の成長をミックスしたユニークなお話。
■邪義の壁
古い実家の壁の奥から白骨が出てきたから始まるホラー。うちの家の壁の中も、なんかありそうだなぁ。柴田勝家氏、ホントに東京出身?東北生まれじゃないの?
■一八九七年:龍動幕の内
『ヒト夜の永い夢』の前日譚だそうで、そちらは未読だけど、南方熊楠が英国留学中に、とある事件を解決する話。熊楠といえば少年ジャンプの打ち切り漫画『てんぎゃん』のロンドン編読みたかったなと思い出しました。
■検疫官
思想に影響を及ぼす物語を国内に入れないよう空港で検疫する男の話。『華氏451』のような、ミイラ取りがミイラになる。
大災害と暴動から逃れ、仮想空間"Mアメリカ"で無限の住人となったアメリカ人に、ネイティブインディアンの青年が仏教の救済を語る話。めちゃくちゃ面白い。また時間を置いて読み返したい。