『折りたたみ北京』郝景芳の長編。1984年と言えばオーウェルですが(まだ積ん読です…)SF仕立てではないけれど、不思議な仕掛けが含まれた作品でした。
郝景芳短篇集に収録されていた『山奥の療養院』の、大学で学んだ後に自分を見失いかける物語を彷彿させる、郝景芳が悩んできた”いばらの道”を描いている気がしました。
前半はこの物語の主人公、軽雲の父が体験する文化革命から自由経済へ、激動の中国の30年間のパートと、海外に飛び出して自由になりたいけど、その一歩を踏み出せない軽雲のパートをいったりきたり。それから意気投合する男性が登場するも自己崩壊してしまう軽雲。とても苦しい場面が多かったのですが、湖のシーンはびっくりしたなぁ。
They are watching you.【カレラハ オマエヲ ミテイル】
この『1984年』の有名な言葉。カレラとは中国共産党なのか、人民なのか、母親なのか、自己なのか、それとも…。色んな意味を含んでいるのがこの作品のすごいところ。