いずれもマイノリティとマジョリティとの世界観の溝がテーマで、この世界からは出ていくけれど、貴方との友愛は続く物語、7篇の短篇集。キム・チョヨプのSFは、しんみりと優しい気持ちになれる。以下は読書メモ。
◾️最後のライオニ
遠く離れた古い宇宙居住区は機械達だけの世界になっていた。探索にきて、機械マスターと間違えられる主人公の話
◾️マリのダンス
視知覚の異常症を持つ少女マリから、ダンスを教えて欲しいと頼まれる話
◾️ローラ
ずれた固有受容感覚《間違った地図》を持つローラの話。腕が三本になるローラの「自分らしくあることは人生をかけた冒険」というセリフが心に残る。
◾️プレスシャドー
空気中の粒子を読み取り会話とするプレスシャドーの人たちの話。粒子言語、まさに空気を読む!
◾️古の協約
大気中の毒素のため早死にするベラータ星の人々は、全てを知った上で、あえて短い運命を受け入れていたという話
◾️認知空間
全知集合体を重視するの中で、マイノリティが未来への扉を開く話
◾️キャビン方程式
理論物理学者の姉は、脳の障害により時間の流れが何十倍も遅い世界の住人になってしまった。そんな姉からメールで頼まれて、観覧車の怪談の謎を解く妹の話。表紙絵とリンク