夜空と陸とのすきま

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時間衝突/バリントン・J・ベイリー

 

時間衝突【新版】 (創元SF文庫)

時間衝突【新版】 (創元SF文庫)

 

支配側タイタン軍団と従属側異常亜種人達に分かれている地球に、2世紀後の未来からキツネザル型エイリアン軍が突っ込んでくるみたいなんだけど、この時間システムの衝突をどうすれば回避できるんだーという話。

時間SFはよく話を見失ってしまうけど、今回も最後まで読み終えても全く話がわからなかった。ベイリーの傑作怪作(でもベイリーはどれも怪作だよな)というのにわからなかったのが癪で、ノートに話の流れをメモりながら2周目でようやく理解できました。はぁスッキリ!

地球も支配と従属側、星間宇宙社会レトルト・シティも娯楽側と生産側に分かれていて、どちらも相容れない格差社会

レトルト・シティの階層分けは郝景芳の『折りたたみ北京』を彷彿しました。2世紀先に予定されているキツネザルエイリアンの襲撃は劉慈欣『三体』みたい。私の脳内はかなり中国SFに侵されている…。

六次元マトリックスや斜行存在(デウス・エクス・マキナ!)など複雑怪奇。ベイリーのアイデアは素っ頓狂で楽しい。

主人公である中年考古学者ヘシュケのやる気のなさ、物理学者アスカーの非協力的な脱落っぷり、これでよくストーリーを引っ張って行けたなと感心。不思議です。