夜空と陸とのすきま

SF好き SF小説1000本ノックを目指しています

銀河の壺なおし/フィリップ・K・ディック

銀河の壺なおし〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

サンリオ文庫というほぼ入手不可能で幻の文庫本だったのが、新訳でハヤカワ文庫から登場、待ってました!映画「ブレードランナー2049」ディック祭りのおかげです。同じくサンリオ文庫の「シュミラクラ」も入手を諦めていたけど新訳版を出してくれました、ありがとう早川!

さてさて、「銀河の壺なおし」新訳は大森望氏でめっぽう読みやすい、というか軽い。絶頂期に何故そんな…というくらいの変な小説ですよね、これは。

主人公ジョー・ファーンライトは父の代からの陶器の壺修復職人。でも宇宙を駆ける時代に壺なおしの仕事などなく、開店休業状態。暇つぶしに<ゲーム>ばかりして鬱になってきて、もう死んじゃおっかなーと思っていたところに、ある惑星の海底に眠る古代遺跡の引き上げ、壺修復の仕事が舞い込むという話。

宇宙時代に壺というと、ファーストガンダムマ・クベの壺しか思いつかない。きっと未来でも需要はあるよね。というか、売ってるんだガンダムショップで(^^; しかもノリタケなんだ。

 

 

ディック作品の鉄板らしい、気が強い元嫁と若い彼女も変わらず登場。あと、様々な種類のエイリアン達、超能力者きたきた。そして、古代遺跡引き上げの依頼者は、怪獣?で、突如始まる怪獣対決。これはまたどこに不時着するんだろう、と先が全く読めず、最後の一行にギャフンでした。水野晴郎を彷彿させる残念さに震えます。訳者大森氏によるあとがき解説も詳しく楽しかったです。

「ウィリス」と呼びかけないと、言うことを聞いてくれないツンデレSiriみたいなロボットのウィルス君が面白かった。

ゴーストバスターズ(2016)/Ghostbusters

ゴーストバスターズ (エクステンデッド・エディション) (字幕版)

大学を追い出された物理学者エリン、心霊現象研究家のアビー、原子力エンジニアのホルツマンは、なりゆきで「超常現象究明研究所」を設立し、ニューヨークを騒がせる幽霊騒動に挑むというお話。

劇場で3D版を見逃したことを後悔、これって3Dだとビームがすっ飛んでくる画になるんですよね、しまったあぁ。

というわけで一年半遅れでレンタルで見ました。過去2作とも家族と一緒に映画館で見た覚えがありますが、ゴーストバスターズが女性4人組に!しかも受付嬢はイケメン男子に!逆転キャスト最高でした。

アメリカンギャグな台詞回しは何のこと言ってるんだか??だらけだし、(今、書いてて「ろくろを回す」=「ゴースト ニューヨークの幻」のことかぁって気がついた。)下ネタもまああれだったけど、後から思い出すと意味がわかってじわじわくるパロディてんこ盛り映画でした。イケメンでマッチョなんだけどお馬鹿なケヴィンと、クレイジーな武器を次々と発明するホルツマンが特に良かった。ホルツマンかっこいい。ホルツマンありがとう!おかげで元気が出てきたよ。

ラストで戦いに勝ってみんながはしゃいでいるときに、独りケヴィンがサンドイッチを食べているのでふと思い出したのが、「女はサンドイッチでも作ってろ」の返しで、南極でサンドイッチを作って「ほらよ、作ってやったから食べにきな」としびれることを言ってくれた16歳JK

 

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 女性軽視である「go make me a sandwich」へ反発する意味なのかな。私はペットボトルの「おーいお茶」の文字を読むとムカムカするんですが、あれもどうにかなりませんかね。

黄色い雨/フリオ・リャマサーレス

黄色い雨 (河出文庫)

情熱の国、大らかなラテン気質スペインというイメージが覆された、繊細で寒くて苦しくて暗い死の小説。黄色=ほっこりとする幸せな色だったのに、冷たい黄色もあるんだなと思いました。

時間はいつもさまざまな傷を消し去る。時間は執拗に降りつづく黄色い雨であり、それが燃えさかる火を少しずつ消し去っていく。

 スペインの山奥の廃村が舞台。限界集落から村人は少しずつ去っていき、孤独に耐えきれず妻は自殺、老いた雌犬と共に孤独に死を待つ男の話。

以前読んだ閻連科の「年月日」も廃村で死を待つ盲いた犬と老人の話でしたが、あのお話はトウモロコシを狙うネズミとのサバイバルがありました。一方「黄色い雨」は、ひたすら死に向かう孤独感を表現していて、救いが全くなくてせつないが、文章は詩的で美しい。この無常がいつの日か自分にも訪れるのか、しみじみとメメント・モリ。しかも大寒波来襲時に読んでしまった。大雪の日に読むとかなりシンクロしますね…。

 

 

 

 

華氏451度/レイ・ブラッドベリ

 

華氏451度 (ハヤカワ文庫 NV 106)

本のページに火がつき、燃え上がる温度が華氏451度。人々を混乱させるという理由から書物を持つことも読むことも禁止された近未来。
密告と通報で本は焚書処分され、書物を隠すと家まで焼かれる。
消防士ならぬ焚書士の主人公は、本と共に焼死する老女を目にし、なぜそこまで書物を手放さないのか気にかかりだす。やがて密かに持ち帰った本を隠れて読むうちに…というお話。

伊藤典夫氏による新訳版が出ているようですが、以前買った旧版の方で。表紙も火トカゲの本と羽が燃えている絵でした。本書に本を鳥のように表現している箇所があるので、改めてみるとせつなくなる絵です。

本は純白なハトのように、手もとでとまって、翼をはためかしている。うすくゆれうごく灯の下で、ページがひらいて、雪白の羽のようにひらめいた。その上に、活字が優雅なすがたをならべている。

いや、すごいなブラッドベリは。本に対する愛情と溢れる想い、焚書による知性を抑圧する体制への反発と怒り、かと思いきや本を読むことは毒にもなる(ビーティー署長)怖さもきちんと描かれていて、渾身の力をふりしぼってタイプライターを打つブラッドベリの姿を想像してしまいました。読みながらもマーカーをひきたくなる箇所が多くて、これはぜひ新訳版もチェックしなければっ。

1953年の古いSFなのに、海の貝という超小型ラジオで耳をふさぎ、壁面が巨大なテレビスクリーンに囲まれる部屋で日々過ごす何も考えない人々の姿が、現代のスマホ依存と似ていて怖い怖い。描かれるディストピアに「これって今の事なんじゃ」と思えてしまう。自由に本が読めて、自分で考えることは何よりも手放してはならない。

 

グラニーバッグ

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おばあちゃんが持っていそうな、どこか懐かしい感じがするグラニーバッグ。メイキングの本に載っていたのはナチュラルでやさしい色合いだったのに、ど派手にしてしまいました。持ち手は琉球紅型だ。着物を着たときのお供にと思いまして、ってかいつ着るんだよ。思いっきり普段使い用です。

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バッグインバッグもミニグラニーで作る。
こちらはお財布とスマホを入れるので、落ちないように止めボタンをつけました。

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 参考にしたのは、こちらの本。
バッグっていざ作り上げると思いのほかぺったんこで、本とちがうやーんと焦りますね。

いちばんよくわかる 毎日使いたいバッグ

いちばんよくわかる 毎日使いたいバッグ

 

沖縄の大工哲弘さんのアルバム「ジンターナショナル」「 OKINAWA JINTA」を聞きながら、ミシン踏み踏み。昔(大正〜昭和中期)の大衆歌って歌いやすい。うちのグラニーも歌っていたのかな。