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本棚の隣で針仕事

雪国在住。積ん読本と図書館通い、 録画した映画、買いためた布や手芸用品をどうするかの記録。

無限の書/G・ウィロー・ウィルソン

無限の書 (創元海外SF叢書)

 

昨日に続き一気に更新していますが、娘の春休みが終了したのでようやくブログ更新できるからなのです。書いているときに後ろからチラチラ見られると気恥ずかしいのですよ。あと、図書館返却日が迫っていて一気読みしているのもあります。今回は調子にのって借りすぎた…。

さて東京創元社新刊の「無限の書」です。表紙絵を見たときに重たそうな内容かしらとかまえてしまったけれど、作者はマーベルコミックの原作者でもあるらしく、ライトノベル感覚なところもありました。ようするにキャラ立ちしていて読みやすい。

サイバーパンクアラビアンナイトの融合。中東の”シティ”と呼ばれる某専制国家を舞台に、謎の古写本を入手したハッカー青年が、政府の検閲官から逃れるため、異界をさまよいつつ本の秘密に迫るーというお話。

ひるね姫」も魔法=プログラムの世界でしたが、こちらも同じく。読みながらリンクしているなぁと思ったものです。

そして表現がコンピュータ用語だったりするとこも面白い。

例えば、”心破れて死にそうになっている”を「世界のパラメーターが不調だ。プロセス速度が鈍くなっている」と表したり。そんなところがツボにはまりました。

作者はアメリカ生まれでイスラム教に改宗し、エジプト人と結婚した女性作家さんで、イスラム教の風習や戒律も多く出てきて、そちらも興味深い内容でした。

特に登場人物の一人、モスクの長老が言うセリフ

「石油ですよ」長老は首をふった。「われわれを滅ぼすだろうと預言者が予見したもうた、地下に埋もれた大いなる呪われた富です。それと、国家という概念ーなんと恐ろしい。世界の中でもこの地域はそうした形で機能するようにはできていないのです。あまりにも多くの言語があり、あまりにも多くの種族がいる。人々を動かすあまりにも強い動機の背後にある数々の思想を、踵の高い靴を履いているパリの地図製作者立ちは全く理解することができませんでした。いまも理解していませんし、これからも理解することはないでしょう。神よ、彼らを救いたまえー」

本篇とはあまり関係ない箇所ですが、中東が不安定な理由ってまさにこれですよね。