夜空と陸とのすきま

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ヘミングウェイごっこ/ジョー・ホールドマン

ヘミングウェイごっこ (ハヤカワ文庫SF)

ヘミングウェイ愛好家のホールドマンが描く、実際にあった「ヘミングウェイ原稿紛失事件」を元に、贋作をめぐるコンゲームからまさかの多次元宇宙SF。

ヘミングウェイ専門の大学教員ジョンは、とある詐欺師からヘミングウェイの贋作を作る話を持ちかけられる。もうけ話に乗り気満々の嫁、良心が痛みつつも贋作を作る誘惑にそそられるジョン。まずは当時のタイプライターと紙を入手と、とんとん拍子に進むミッション、嫁が詐欺師と不倫急接近。前半は詐欺話がメインのテンポ良いコンゲーム

そしてジョンが贋作を書こうとすると、神ヘミングウェイが登場(!)し、「贋作などやめんか」と怒り殺されてパラレルワールドへ飛ばされてしまう。そうして飛ばされていく多世界はだんだん悪い方向へ進み…というお話。

愛人登場でエロエロな展開、作家ホールドマン自身のベトナム戦争体験も交えたリアル戦闘シーン、グロイ死の瞬間などなど、話も変だしハードとソフトな表現を行ったり来たりするのでなんとも奇妙な小説です。へんな小説大好き大森望氏の翻訳もぴったり。

 ヘミングウェイSFは、ブラットベリの『キリマンジャロ・マシーン』に続く2作目ですが、偉大なるパパはネタの宝庫ですな。

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