時間SFのアンソロジー。時間ロマンス、奇想、時間ループをテーマにした13篇。これを読んでから、私はタイムスリップか歴史改変物の方が好きかもと気がつきました。ループものって主人公の心情に共感しすぎて辛くなってきます。外国ではマイナーだけど、日本人にはループものが人気ってなんでだろうね。
ということで、時間ロマンスに分類されるテッド・チャン「商人と錬金術師の門」が一番好み。チャンの「あなたの人生の物語」は「メッセージ」というタイトルで映画化され、いよいよ劇場公開まであと半年、めっちゃ楽しみです。
あの球体型宇宙船が煎餅の”ばかうけ”にしか見えなくて困ってしまいますが、(ばかうけにコラした画像もTwitterで見かけた気がする)すばらしい映画のはず!
「商人と錬金術師の門」はアラビアンナイト風なんだけど、タイムトラベルの門が出てきます。古人曰くの「この世にはもとにもどせないものが四つある。口から出た言葉、放たれた矢、過ぎた人生、失った機会だ」はグサッと心に響きました。タイムトラベルによって、過去を変えることはできないが、より深く理解することはできる。決してハッピーエンドではないけれど、想いを知ることができただけで幸福だという結末の余韻にしみじみと浸れました。名作!
表題にもなっているF・M・バズビイの「ここがウィネトカなら、きみはジュディ」
どこかで聞いたフレーズだと思ったら、ザバダックの「ここが奈落なら、きみは天使」なのか。今年の7月に吉良さんが突然亡くなって大ショックでしたが、小峰さん率いるザバダックはまだまだ続いていくようなので良かった。高校生の頃は毎日聴いてました。
すべてはあなたにつがる時間へ
「ここがウィネトカ〜」もそんなタイムトラベル・ロマンスの物語。人生の様々な時期をランダムに移動しつつ、永遠の恋人と出会う。ロマンスね〜とうっとりですが、タイトルにあるジュディがその恋人ではないという衝撃。ちゃうんかい!しかも主人公の男と恋人のエレーンも、お互いすれ違いながら何度も別の人と再婚していて、もてもてですがな。