夜空と陸とのすきま

SF好き SF小説1000本ノックを目指しています

地球が静止する日/The Day the Earth Stood Still

1951年のモノクロ映画『地球の静止する日』を観て、ハリー・ベイツの原作『主人への告別』を読んで、ようやく2008年のリメイク版『地球が静止する日』を観ました。

突如N.Yセントラル・パークに落下してきた球体から現れた巨大ロボット・ゴートと異星人クラトゥ。クラトゥは地球の代表者と話し合い、地球を救いたいと言うが、突然のファーストコンタクトにパニックで攻撃的な米合衆国。騒動に巻き込まれた地球外生物学者ヘレンと息子ジェイコブ。クラトゥは激おこゴートの暴走を止めることができるのかというお話。

地球来訪の目的が、前作では核開発を止めることだったのが、今作では地球の自然環境破壊を止めさせることに変わっていて、21世紀に合わせてアップデートしているリメイクでした。

立ち位置がクラトゥ=シン・ウルトラマンで、ゴート=ゼットンだなと思う。(最近シン・ウルトラマンを観たばかりだったので)

エンタメ的には迫力不足だけれど、各地で生物を回収する球体が方舟、避難する車の列が出エジプト、そしてナノマシンの虫はイナゴ(ですよね!)などキリスト教の聖書モチーフ増し増しで、そこは面白く観れました。ノーベル賞受賞学者と黒板に数字を書いて意思疎通できるシーンが良き。

オリジナル作品同様に電力消滅が"地球の静止"なら、その静止表現がいまいち足りなかったのが残念。

ストーカー/Сталкер

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  • アレクサンドル・カイダノフスキー
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とある地域で何かが起こり、人外魔境となった「ゾーン」。作家と教授、そして案内人(ストーカー)の三人が、ゾーンにあるという「入ると願いがかなう部屋」を目指す。ゆきてかえりし物語。

タルコフスキーの映画は芸術的作品だが眠い!『ソラリス』も『ノスタルジア』も20代で観て爆睡したけれど、『ストーカー』は原作を先に読んでいたから、舞台設定が理解できていて、かぶりつきで3時間見れました。歳をとったから、ようやくタルコフスキーの良さがわかるのか。他の作品ももう一回見直そうかな。

脚本は原作者のストルガイツキイ兄弟ですが、タルコフスキーの自叙伝的なものをかなり入れてきている気がします。ゾーンに入るのが作家と教授だから、セリフも監督のことのように聞こえてしまう。宇宙からきた隕石落下でできたゾーンという設定以外は全くSFしてなかったけれど、水と火の表現の美しさ、シンメトリーを多用する構図、宗教的解釈、ゆきてかえりし物語の最後に優しく迎える妻。

ゾーンの探索中、ちょっと休憩しようと言ってなぜそんな狭いとこで寝るの?と思ったけど、あの水の中の医療用具〜キリスト像〜銃〜のシーンは意味深で美しかった。

 

タルコフスキーは自由な表現を求めてソ連から亡命し、フランスで客死。

ウクライナのゲーム会社は、『ストーカー』のゾーンをチェルノブイリ放射能汚染地帯に変えてPCゲーム『S.T.A.L.K.E.R.』を開発。

そして日本では、理解の及ばない異世界でのお宝探索をコンセプトにした『裏世界ピクニック』がラノベ、アニメ、漫画とマルチメディア展開。日本らしいといえばらしい。

yanhao.hatenablog.com

 

マトリックス レザレクションズ/THE MATRIX RESURRECTIONS

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新年明けましておめでとうございます。つたないブログですが今年もたま〜にお立ち寄りいただければありがたいです。本年も宜しくお願いいたします。

2022年ブログ最初の投稿は、年末の多忙時に縁側から抜け出して(玄関を通らないところがミソ)レイトショーで見てきたマトリックスの新作。オープニングから「やっべー前3部作の話どんなんだっけ忘れたわ」と、どきどきしながら映画に乗車しました。

案の定、話も用語もさっぱりわからないまま。そういえば、主役二人とも死んで完結したんでしたっけ。でもトーマス(ネオ)とティファニー(トリニティ)の顔が一瞬だけ白髪の別人になって映る所は見逃さなかったよ。ネオが赤いピルを飲んで覚醒するまでが1時間、長い!

宇多田ヒカル似のバッグス船長の活躍、前作のパロディ(結構すべる)、アクションシーンで机に倒れ込む香港カンフー映画リスペクト、新幹線が新感染だったりで、監督が楽しみながらアレもこれもつっこんでいる感じは見ていて楽しい。

けれど途中からゾンビものに近くなってきたのはいいとして、どうしても「飛び降り」というモチーフは気持ちがざわざわするので好きなれない。精神科医からの助言や幻覚・現実の境目をぐらつかせるのは、見る人によっては結構きつい描写なのではとも思う。

最後まで見終えての感想としては、全4作品の元ネタや設定を細かく追いかけていくとまた味わいが違ってくるのかなと。何度も見て読み解いて楽しむ映画がマトリックスシリーズなのだろう、ということでまた前作を見直します。

エンドロール後の寸劇は、余韻台無しだったので無くて良かったね…。

 

JM/Johnny Mnemonic

ウィリアム・ギブスンの短篇『記憶屋ジョニイ』の映画化。脳の一部を電子化し、ストレージにデータを保存して運ぶジョニーをキアヌ・リーブス。データを追うヤクザの親玉タカハシを北野武が演じる。

1995年当時はかなり話題にはなったものの、予告編などで人間が輪切りになったり、割と血まみれだったのが怖くて、映画館に足を運ばなかったような気がします。今見るとたいしたえぐさでもない…大人になったなぁ私。監督さんが現代アートの人なので、衣装やボディメイク、構図やカメラの傾きなどにこだわりを感じましたが、アクションがドタバタしていてスマートではなかったのが残念。この後の『マトリックス』に繋がるギブスンワールドの映像美と世界観の土台を作りあげた感じでした。

色々つっこむところも多くて(タカハシとシンジは特に!)見ていて楽しかったです。後半出てくる殺し屋カール牧師の拷問シーンとか小道具がヤバイ。キャラクター描写がとても良くて、ジョニー(キアヌ)のストレスが爆発して「清潔なベッドで寝たい!高級娼婦を抱きたい!洗濯したい!帝国ホテルのクリーニング…東京の!」と叫ぶシーンとか最高に良かった。帝国ホテルうんぬんはアドリブだったそうで、キアヌいいやつだ。男女ともに肩パット入り大きめのスーツで時代を感じて懐かしかった。

DUNE砂の惑星/Dune

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60年前のSF大河作品をドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が再度映画化。キャッチコピーの「全宇宙」だと大風呂敷を広げすぎるから「銀河」ぐらいにしておけばいいのでは、などとツッコミたくなりました。

それはともかく映画の出来は最高!さすがドゥニ☆ヴィル監督。古参ファンが多く、何度も映像化した作品でもぐうの音もでない完成度だと自分は思いました。砂漠が、光が、色が美しい、とにかく美しい。大画面でええもんみせてもらいました。

ポールが逐一予知夢で未来をみて、今後の展開を教えてくれて、「ヒットして続編作れればこれが見られるよ、ヒットしなかったら作れないので、こういう大河シリーズなんだとご理解ください」と説明されているようで、どちらに転んでもいいような作り方がずるいです。

壮大な2時間半予告編を観た後に、続編決定の情報、嬉しい‼︎