本棚の隣で針仕事

雪国在住。積ん読本と図書館通い、 録画した映画、買いためた布や手芸用品をどうするかの記録。

刺青の男/レイ・ブラットベリ

刺青の男

旅行中に私が出会った刺青の男。彼の全身には見事な18の刺青が彫ってあり、夜の月明かりの中、刺青の絵は動きだし18の物語を演じ始める…というプロローグからなる18の短篇集です。

せつなくも美しい名作「万華鏡」。以前、たまたま流れ星を見かけたのですが、「万華鏡」を読んだらもう星々が輝くイメージがぶわぁとひろがって、あの流れ星を思い出すと泣けてきますね。実写にすると痛々しいというか、グロくなりそうだけど。

18の物語はとても詩的に美しく、かつ”死”に満ちていている話が多く、子供達は無邪気でとても残酷で、ブラッドベリのダークサイドを垣間見るようです。

早川書房が76年に発行した絶版の文庫版を読んだのですが、古書店で購入したらえらい安くて、その理由は16話目の「町」に、鉛筆線と書き込みが多数あったから。前の持ち主さん「復讐は徹底的におこなわれるだろう。」の文章に(地球の滅亡)と描き込んでいる。なんかレポートか感想文でも書いたのかなぁ。「町」も怖い話だったけど、なぜこれを選んだんだろうと無性に気になりました。こういう出会いも古本ならでは。

世界不思議地図 THE WONDER MAPS/佐藤健寿 阿部 結

世界不思議地図 THE WONDER MAPS

「奇界遺産」の佐藤健寿氏プレゼンツ、すべての漢字にルビがふっていて小学生から読める世界地図「不思議オカルト」版。本当に良くまとめられていて大人も楽しめます。

自分が小学生の頃に夢中になって読んだ謎・不思議本で得た知識が、さらにリロードできた感じでした。新しい不思議がたくさん、Googleアースで世界一周旅行できても、視線をかえればまだまだ未知なる領域は残っているんだなと嬉しくなります。佐藤氏の写真もベストショットばかりで満足です。

この前、Twitterで見かけたツイート「みんながスマホで写真を撮りだしたら、UFO写真がめっきり減った」は、ほんまですなぁ。未確認生物も減っていくのでしょうか。

うちの屋根裏にも未確認生物がいるんです。深夜に大きな生き物がミシミシと体重をかけて移動する足音が聞こえるのですが、電気業者や大工さんに屋根裏を見てもらっても、ハクビシンや猫などの動物の足跡ひとつなく、綺麗な屋根裏ですよって言われるんです。家族全員が足音を聞いてます…。この事例に該当するUMAか妖怪はいたっけか。

クボ 二本の弦の秘密/Kubo and the two strings

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独眼の少年が三味線かついで、サルとクワガタとともに三種の武具を探し、両親を奪った魔の力に立ち向かう話。劇場で日本語吹き替え版を鑑賞。

最新のストップモーションアニメ技術を駆使し、質感も目の迫力も光源の美しさもCG以上でしたが、途中から物語にぐんぐん引き込まれたため、細部に目をやる暇がなくなるほど。もう一度みたい、Blu-ray買いたいと思いました。

サルが〜CV田中敦子なんですよ、草薙大佐!バルサ!が「覚えておきなっ」って厳しく叱責してきて、ほんでもってとても強い。まずサルに心をがっつり持って行かれました。(サルが出てくるあたりから、アメリカ風味のキャラの違和感がなくなりました)敵対する闇の姉妹もべらぼうに強すぎて怖く、ラスボスがかすんでしまうほど。

たっぷりアクションを楽しませてもらった後に、「まだボクの物語は終わらない」、「物語の終わりは新しい物語の始まり」。二本の弦の秘密もわかると、涙がぽろぽろと出てきました。ラスボスと対峙するときに手にしたのが○○で、ラストに村人がとった対応も、素晴らしいメッセージが含まれていたと思います。
ああ最高の体験をありがとう。

決してマネをしないでください。/蛇蔵

決してマネしないでください。(1) (モーニングコミックス)

楽しく知的な大人の学習マンガという帯のうたい文句通り、工科医大の実験サークルで科学者のたまご君達が行う、危ない楽しい実験の日々を描いたコミックス全3巻。物理オタク学生の掛田君と、科学がまったくわからない学食のおばさん(おばさんって30歳前なのに…)こと飯島さんとの淡い恋の行方も同時進行で、微笑ましく読めました。

タイトル「決してマネをしないでください。」通りに、真似したら死ぬよ、爆発するよ、君が燃えるよと危ない実験がいっぱいです。蛇蔵さんの軽やかなタッチの絵柄で自主規制の壁を軽々と乗り越えていくところが好き。知識として覚えておきたいことばかりです。

飯島さんの「物理を面白く説明してくれる誰かがいたら好きになれるのに」という台詞、まんま思いましたわ。今、この本を読んで楽しんでいる娘が羨ましい!合間に入ってくる偉大な科学者の話が面白くて、ポプラ社の伝記文庫でキュリー夫人エジソンを読み育った世代としては、衝撃的な話ばかりで。NHKEテレのアニメ「マリー&ガリー」に続いて、「決しマネ」で上手く知識を補充できた気がします。

お陰様で娘はテレビでクリスマス商戦のCMを見る度に、「12月25日にキリストは生まれてないもん!ニュートンの誕生日だからニュートン祭だよ!」と言い放つようになりましたよ、ええ。

 

霧に橋を架ける/キジ・ジョンスン

霧に橋を架ける (創元SF文庫)

図書館で単行本の方を借りて読む。分厚い本をじっくり読みたいところだけど、まだまだ仕事が落ち着かないので、色々と賞を受賞している短篇集ならと手に取りました。ところがどっこい、読んでいて目がすべるすべる…。最後まで読んで、もう一度読み直して初めてストーリーが入ってくるという、著者の文章が合わないのか、自分の脳が疲れているのか(もちろんオイラの脳がポンコツなのさっ)

キジ・ジョンスン、お初のSF作家でしたがクールというか、巻末解説にある「読者をチクリとやる蜂」という表現がまさにぴったり。人間のエゴを突きつけられて、後味が悪い話が多かったです。現代アート束芋会田誠の作品が思い浮かびました。

 

印象的だった短編の感想

 

*26モンキーズ、そして時の裂け目

1ドルで26匹の猿を譲り受け、ツアーバスで各地のサーカスを渡り歩き、猿が消えるマジックショーを続ける女性の話。世界は奇妙なことで満ちている。説明のつかないことで。さばさばした感じがとても好き。

 

*スパー

エイリアンと宇宙で延々交わるだけの話。衝撃作ということで、ネット上では大分物議をかもしたようですが、早く終わらないかなーと冷めた視線で読んでいた自分に驚く。

 

*水の名前

工学部を落第しかかっている女子大生、ある日かかってきた電話から未来に繋がるヒントを受け取る話。短いけれど、水の波紋から宇宙へとイメージが膨らんでいき感動しました。

 

*ポニー

プリキュアやサンリオみたいな、ピンクでふわふわでかわいい世界観をエグくグロく描く感じ。イラストなどではよく見かけますが、なるほど、文章にするとこうなるのか、ふむふむ。