夜空と陸とのすきま

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インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌/Inside Llewyn Davis

 

 

 

レンタルDVDを借りる。

コーエン兄弟大好きだ!劇中で主人公の歌を聴いたプロデューサーが「金の臭いがしねぇな」と評価しますが、ホント金の臭いのしない映画だ!

流行歌を拒否して、NYのライブハウスでフォークを歌うルーウィン。貧乏家無し、猫とさすらう1週間の話。

背景には相棒の自殺、女友達の妊娠、痴呆の父親とどんづまりな理由があるのですが、その説明はなく、観ているうちにじんわりとわかってきます。どんなアーティストもぶつかる芸術か商売かの壁。そんな物語をモノクロに近いハーフトーンなカラーと、夜の闇、雨や雪のハイウェイで心情表現していて、最後まで淡々とクールに描きつつ、猫の登場でほっこりとさせられ、辛くありません。たたみかける不運の物語をかわいい猫描写で助けるのはハインラインの「夏への扉」みたいだな。でも猫好きが観ると怒り狂いそうなシーンもあるのでご注意。容赦ないところがコーエン兄弟らしいんだけど。

主演のオスカー・アイザックかっこいいです。本当にシンガーかと思った。こちらは「金の臭いのしない」歌


Inside Llewyn Davis - Hang Me, Oh Hang Me ...

最後のセリフ「あばよ」とか、猫の名前とか、見終わった後に色々考えて、そんな含みを入れていたのかと楽しめました。60年代のフォークシーンに詳しい人が観たらもっと面白がれるのかなぁ。

劇中歌で知っていた歌は「500マイル」だけでしたね(^_^;)相変わらずの無知な自分。この清楚な顔したキャリー・マリガンの怒濤の悪口シーンも見物です。こちらは「売れる歌」として対比ででてきます。芸術も商売もどちらも地獄、でもより魅了されるのは…。


Five Hundred Miles - Inside Llewyn Davis - YouTube