夜空と陸とのすきま

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新しい世界を生きるための14のSF /伴名練=編

新人SF作家さんのアンソロジー。どれも面白くて読み応えがあり、分厚い割にはお買い得な文庫だと思う。14本それぞれに長い解説があり、セレクトした伴名練氏が全力でSF沼に引き摺り込もうとしてきます。まだお若いのにすげー。

 

■「Finally Anchors」八島遊舷

事故直前、車両どうしがぶつかるまであと0.488秒。まだ0.488秒あるぜ、さあどうすると車体AIが最後の審判を話し合う。アンソロジーの最初にふさわしい度肝を抜く展開!

 

■「もしもぼくらが生まれていたら」宮西文樹

小惑星が地球にぶつかると大騒ぎの中、高校生達が衛星構想コンテストに挑む話。衝突までのタイムリミットの緊張感と科学技術の進歩と信頼があって読後感よき。

 

■「九月某日の誓い」芦沢 央

大正時代でお嬢さま超能力ミステリー。「○○を操る力」で急にSFになるって不思議だな。科学的根拠の説得力よ。

 

■「大江戸しんぐらりてぃ」夜来風音

改変歴史SFで安井算哲と関孝和の演算装置の話。算術長屋のブラック企業っぷりに苦笑。

 

■「ショッピング・エクスプロージョン」天沢時生

驚安の殿堂ドンキがSFになるってすごい、超安の大聖堂サンチョ・パンサ(笑)!わけわからんルビがふってあるSFが大好物なので、このアンソロジー中でナンバーワンでした。この作者の著作をもっと読みたいので『ポストコロナのSF』読むぞーメモメモ。