夜空と陸とのすきま

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航路/コニー・ウィリス

航路(上)

航路(上)

 
航路(下)

航路(下)

 

図書館で今はなきソニー・マガジンズの単行本を借りる。単行本はハヤカワから出ていたわけじゃなかったんですね。分厚い上下巻で1ページが2段組仕様と、かなりのボリュームでしたが3日かけて一気読みしてしまいました。

臨死体験の原因と働きを科学的に解明するために、認知心理学者のジョアンナと神経内科医のリチャードが奮闘する物語。

舞台は病院で、ウィリス十八番の喋りたがりキャラがわちゃわちゃ出てきて、いつものように主人公達が翻弄されつつ、「タイタニック」を手がかりに臨死体験の謎解き。SFというより医療サスペンス。会話の端々に細かい伏線が張られていて、第3部からの巻き戻しが見事。最後は泣くまではいかなかったけど、エモーショナルでした。彼岸の彼方、三途の河はタイタニックなのか。

主人公ジョアンナと看護師のヴィエルが百合っぽいくらい仲良しで、毎週木曜日にディッシュ・ナイトと称して、レンタルビデオをだらだらと見る会を開くのがとても羨ましい。こんなマブダチの関係いいなぁ。また映画の批評が辛口で、ウィリスは映画やドラマに対して容赦無いですね。

メタファーとは、なんらかの意味で似通ったふたつのものを遠回しに、あるいは直接的にたとえることだ。死は旅であり、航海であり、通過(パッセージ)だ。