夜空と陸とのすきま

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メモリークエスト/高野秀行

メモリークエスト (幻冬舎文庫)

単行本で読む。昔旅行で出会ったあの人は今…などの探して欲しい人の依頼を一般から募集して、辺境探検家高野秀行氏が少ない手がかりを元に会いに行くという企画本。1ヶ月間五カ国で5つのミッション完了。幻冬舎から出ている高野さんの本はこれだけなのかな。ウチにある幻冬舎の本もこれだけ。

●5年前に山奥で出会ったスーパー小学生を探して(タイ)

●日本へ行った時の身元保証人を探していた若者を探して(タイ)

●膨大な量の春画をコレクションしていた土産物屋のおやぢを探して(セーシェル

喜望峰で会ったツアーガイドを探して(南アフリカ共和国

●ユーゴ内戦で音信不通になった友だちを探して(セルビア

このチョイス無理じゃねと思うけど、自称「探索のプロ」高野氏も絶望と歓喜を繰り返しながら奇跡がおきて見つかってしまうのです。世界中の人間は、「知り合いの知り合い」といった関係をたどっていくと、5人の仲介者を経て6人目でつながるという「6次の隔たり」を体現するかのよう。

ただの人探しだけでなく、その国の政治・民族的背景も紹介されているので読み応えがありました。タイ人のクラクションを鳴らさない思いやりとやさしさに感心し、ルワンダコンゴの難民事情、戦数百年以上も戦国時代が続いているバルカン半島がとてもわかりやすかった。

高木徹の『戦争広告代理店』を読んでみたい本メモに追加。