夜空と陸とのすきま

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声の物語/クリスティーナ・ダルチャー

声の物語 (新ハヤカワ・SF・シリーズ)

アメリカに住むすべての女性の手首にワードカウンターが取り付けられ、一日100語までしか話せない制限がかけられた。言語・インターネット・パスポートと仕事さえも取り上げられ、家にこもり良妻賢母を強制される。奪われた声を取り戻せという、ディストピアフェミニストSF。

こーれは読んでいて辛かった、心を揺さぶられすぎて悪酔い。

認知言語学者のジーンは才女で子だくさんで絶讃不倫中と、あれもこれも盛ってしまった感があり忙しい。学生時代に政治デモに参加した友人からたくさん忠告を受けたのに、政治に興味なしで選挙にも行かなかったジーン。そして沈黙していたら沈黙させられてしまった現状に後悔先立たず。何よりもジーンの長男君が、学校で徹底して男尊女卑をたたき込まれてきて、すっごく嫌な奴になっていくのが辛い。キリスト原理主義者で極右の大統領の元、とんでもなく酷い状態なのに誰も反発せず、同調していく社会も怖い。

最終的にはハッピーエンドに近い終わりになりますが、それにしてもジーンの夫氏がかわいそすぎます(^^;)

悪が勝利するために唯一必要なのは、善人が何もしないことだ。

みんな選挙行こっ。ちゃんとまともな人選ぼっ。