夜空と陸とのすきま

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はだかの太陽【新訳版】/アイザック・アシモフ

はだかの太陽〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

ニューヨーク市警の刑事ベイリは、ロボット刑事ダニールとともに、宇宙国家ソラリアで起きた殺人事件の捜査を命じられるというお話。

冴えない中年刑事とロボット刑事のコンビが活躍する『鋼鉄都市』の続編。何かタイトルを見たことあったなぁと思ったら、だいぶ前に古本で買ってて本棚に入ってました。おぉいつの間にっ。

1人につき1万のロボットがお世話をしてくれる至り尽くせりな宇宙国家ソラリアでは、人々は広大な土地にまばらに住み、対人関係は映像のみの総引きこもり。300歳という長命のため、結婚も出産もすべて計画的・医学的に管理されていて、結婚していてもお互いがふれ合うことはない。こんな惑星まるごと密室空間で、人を傷つけることができないロボット三原則を守るロボット達もいて、いったいなぜ殺人事件が起きてしまったのか。

この対人恐怖症のソラリア人が笑えないというか、もう未来の我々の姿に見えて怖し。事件解決とかどーでもよくて、ソラリア人の観察日記のような内容。相手が見ているのは所詮映像だからと、モニター越しにすっぽんぽんで登場したかと思えば、近距離にリアルに近づくと対人恐怖で失神する。いやはやなんとも。

地球の鋼鉄都市はドームに覆われているので、ドーム育ちのベイリにとっては、さんさんと輝く太陽が照りつけるソラリアの環境が未知の世界。というわけでラストのセリフが「はだかの太陽」なんですが、最後まで読み終わるとタイトルの意味に感動します。人類よ、引きこもってないで宇宙へふみだせ!

ベイリとダニールのバディ物は、このあと『夜明けのロボット』、『ロボットと帝国』と続くそうですが、その2冊にいつか出会えるかな。

ヨシヤパテ!