夜空と陸とのすきま

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厨師、怪しい鍋と旅をする/勝山海百合

厨師、怪しい鍋と旅をする

すぐれた料理人(厨師)一族の村、斉家村の斉錬は、山できのこ取りの最中に謎の男から謎の鍋を借り受ける。その鍋は煮炊きをしないでいると、動物や人間を襲う妖怪鍋だった。鍋を持ち主に返してくるまでは勘当だと村を追い出され、斉錬は流浪の厨師となる。というお話。

たいした調味料を入れなくても、長年の味が染みついた鍋からでる出汁で、美味い料理ができるって、最初に猫食べてたよねこの鍋…。うーむ怖いわ。

戦場の飯炊き、名家の隠居、そして物の怪のすみかと旅は続き、さらに斉家村からお守りにと渡された包丁が、あやかしに会うと剣に変身したりして、猛烈に楽しい中華ファンタジー

後半に出てくる鳥が好きな女の子、琳泳。清の時代だけに、女性の纏足の描写が痛々しいんですが、この娘は小気味よくってマイノリティで親近感がわきました。

ショートショートのオムニバスで続く連作。すべてが最後の物語に繋がっていく構成もお見事。ぜひコミカライズかアニメ化をして欲しい、透きとおる水墨画調で。なんなら本場中国でアニメ化して欲しいくらい。

 

なんとなく話が南條竹則っぽいと思って読んでいたけど、解説が南條竹則氏でした。