夜空と陸とのすきま

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世界のシワに夢を見ろ!/高野秀行

世界のシワに夢を見ろ! (小学館文庫)

ヤングチャンピオンに連載されたコラムのまとめの単行本化のちの文庫版。青年漫画雑誌だからか、高野さんかなりテンション高めな内容。

何か読むもの貸して〜と寄ってきた娘に渡したら、最初はゲラゲラ笑って読んでいたけど、下ネタエロネタが出てくるとすっと本を閉じて黙って返却してきました。まだ刺激強かった?ゴメン。

高野さんは「人一倍トラブルやアクシデントに出会う”体質”」とのことですが、世界の“シワ”たる辺境にこんだけ足を運んでいたら、命がけの旅にたくましくもなるよなぁと思う。

そうそう、まえがきに書かれてあった

アメリカ化が進むと、世界はのっぺりする。
イメージで言えば、先進国と大都市を中心に、みんながせっせと大地にアイロンがけをしているようなものだ。どこも同じように清潔で快適でおしゃれで便利になる。では、アイロンがまだ行き届いていないところはどうかと言うと、これはシワくちゃだ。昔からシワだらけだったのが、さらに中央部からの、まさに「シワ寄せ」を食らっているからたまったもんじゃない。

という、辺境や僻地を”シワ”と例えるところがお見事。

ちょっと前に南国に住む叔母が、飛行機と新幹線を乗り継いでこの遠き雪国にやってきたときに、「こんなに遠くに来たのに、イオンもユニクロもツルハもイエローハット眼鏡市場もあって、うちの近所と同じやん」と言われたことが、なんというか申し訳ない気持ちになってしまったことを思い出しました。うん、快適便利なんだけどつまんないよね。南国の実家も、この雪国もアイロンがけされてしまったんだよ。

本の話から脱線してしまいましたが、そんな世界中の”シワ”で出会った衝撃的な出来事満載のコラム集の中で、一番印象に残っていて恐怖を感じたのは「中国奥地のバス旅行話」で、本を読みながらも、もらいゲロしそうになった経験は初めてです。恐るべし世紀末バス。